「サンパチ!あっためておいたぜ!」
残り時間5分。スコアーは40−33。
「うん!」
出られない仲間もいた。出っぱなしの仲間もいた。
監督の息子にスタメンはとられた。
全部出来たのは、サンパチ、お前だけだ。
「叩きのめしてやっていいぞ!」
「サンパチさん!ファイトー!」
「黄色38番、プッシング!」
「だはは!!」
サンパチ
「いやぁ、最高だったぜ、サンパチ!」
「残り5分じゃ、ボールに触れなくてもしょうがねえよ!ははは!」
「パスくれたって、いいじゃないか」
「そこが違うんだぜ!サンパチ。パスすると思うじゃん?だはは!」
「スリーポイントの練習、いっぱいしてたの知ってるでしょ?!」
「ああ、知ってるさ!うまいもんな」
「だったらー」
「ゲームメイクはオレの仕事だろ?サンパチはスリーポイントの練習してていいよ、とりあえず」
「サンパチがスリー決めるのかぁ、見たいなぁ、アッハー!」
主人公サンパチに、天才ドリブラー兼監督の息子ゴーゴー、ゲームメイクのセブン。
「どうだサンパチ!こんな感じだ!」
「スリー打っていいの?」
「ああ、いいぜ!パスしたら、ソッコースリーだ!」
「入るかなぁ?」
「それを練習するんだろー?」
「オレも補欠になってみてーよ、サンパチ!だはは!」
「分かった。やってみる」
「お、いいねぇ。返事が!」
「たしかに。今の返事良かったぞ。サンパチ!」
「サンパチさーん、藤原監督が呼んでますよ」
「あ、はい。すぐ行く!」
「帰って来なくていいぞー」
藤原監督は、はっきり言ってバスケは上手くない。
「松尾、お前はスリーポイントの練習をするな」
「あ、はい。でも、、」
「ん?でもなんだ?言ってみろ!」
「あ、はい。藤原くんはスリーポイントの練習しろって、言ってました」
「松尾。監督は誰だ?」
「あ、はい」
「松尾。もし試合に出れなくても、あいつのせいにするな」
「あ、はい」
「あいつはスタメンから外されたくないんだ」
「・・・・。」
「いっぱい動いて、パスをもらえ。オレはそうやって監督になったんだ」
「分かりました。やってみます!」
「よし、いい返事だ!練習に戻れ」
「ありがとうございました。」
「おう」
藤原監督は、バスケは上手くない。
先生とも、お父さんとも違う、何かがすごく上手い。
「あたりめぇだろ、サンパチはスリーの練習だけしとけばイイんだヨ」
「監督がやるなって言ったんだよ?」
「父さんの言うとおりになんてしても、試合に勝てなきゃ意味ねーじゃん」
「じゃあどうすればいい?」
「おまえさぁ、話聞いてる?」
「絶対ダメだよ!藤原監督の言ったとうりにしないと試合に出してもらえなくなっちゃう!」
「もしそうなったら、オレ試合に行かねーから。サンパチはスリーポイントの練習をしろ!」
「そんなこと言ってないよ?」
「オレが決めたんだ。サンパチ、オレはスタメンから落ちねぇ。付いて来いよ。」
「セブン、遅いね」
「さあ、天才に恐れをなしたんじゃねーか?」
「すごい自信だね、ゴーゴーは」
「意味がない自信だったら、いらねぇ。サンパチは自信なくてもしかたねぇ。セブンが来なくてもしかたねぇ」
「もう帰ろう?」
「セブンが来ねえなら、こっちから行ってやる!サンパチ!来い!」
「もう帰ろうよ!」
「帰りたきゃ帰れよ、こっちだって本気で止めたい時は止めるんだからさ」
「もう、帰ろうよ」
「珍しいな。サンパチにしては、」
「・・・。」
「もう少し待とう。サンパチがさ、スリーの練習してると、実はセブンが動きやすいんだぜ?知ってた?」
「そうなの?」
「オレが天才なら、サンパチは奇才で、セブンは秀才。オレはセブンの言うことなら聞くぜ。サンパチの言うことも聞かないわけじゃないのはそのためさ」
「おれ奇才なの?」
「盆栽でもいいけど。どっちがいい?」
「天才がいいな」
「だろ?そうなんだよ」
「嫌がらないんだ?」
「オレだって天才がいいからな。分かるよ。だったらセブンの言うことは聞いた方がいい。今日ここにセブンが来なくてもしょうがない。で、さっきも言ったけど、セブンはサンパチに興味があるのさ。つまり、セブンにないものがサンパチにはあるんじゃないかと、オレはそう考えたね」
「おれに?」
「逆に、あるはずのものがないとかね」
「だったら盆栽でいいや」
「秀才には興味がないの?」
「セブンみたいに考えたり出来ないよ」
「セブンはすごい。サンパチにそれを伝えられたおれは天才だよな?」
「んー。やっぱり、藤原監督に似てるかも」
「どこが?」
「わかんない」
「何か言ってみて」
「・・・。そうやって、おれに話させるのが上手い」
「違うね」
「気に入らない?」
「家族だからさ」
「まあ、そっか」
「あ、もっかい言っとくけど。天才には秀才がベストだぜ」
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