オープンテラス、

途中の人間(第18話)

siina megumi

小説

693文字

母 ナデカ
息子 デン

この親子の「シゴト」は、この世に不要で無価値になってしまった人間を、社会的に追い詰め自殺させることだった。

 

向こうの席の話し声が聞こえた。

 

デン「だからさ、自分が愛好する、自分を救ってくれたモノが目の前にあるのに、それを守る努力をしないっていうのはどういうことだよ? ゲームのプレイヤー面して、オムツを履いたボケ老人みたいにぼーっと突っ立ってるだけなのか? 俺達は延々問い詰めるぞ」

ナデカ「あなたが言うそれ、本当に全てを賭けられるの? あなたが自殺したくなった時、それは本当にあなたを救ってくれる? それは本当に、あなたをこの世の住人にしてくれる?」

デン「人間は予告なく産み落とされ、いつ死ぬかも分らない不安定さの中生きてるんだ。機が来れば、お前は選ばなければならない。二択だ。つまり今すぐ自殺するか、もしくは、思い切ってこの世の住人になってしまうか。機というのは何処にでもある。俺達が与えているのがそれだ」

ナデカ「自殺するんなら任せて」

デン「だがもし抵抗を感じたんなら、お前にはこの世に加筆しなければならない何かがある」

ナデカ「今や誰もが、自分が生きたいのかどうか分らないという彷徨いのなかに、無欲地獄のなかに居る。機さえ与えれば、誰でも自殺させることができる」

デン「いいか? 生きるというのは、この世の住人になるということだ。お前の周りに居る無欲な人間、それはお前が変えなければいけない人間達だ。お前のせいで自殺出来なくなったと、周りの人間に言わせてみろ。理屈から言って、お前なら言わせられる。この世に住むとはそういうことだ」

ナデカ「あなたが変えた人間は、ますますあなたをこの世に縛り付ける」

デン「この世に住むっていうのは、この世の住人を増やすっていうことなんだよ。そうだろ?」

2020年6月16日公開

作品集『途中の人間』第18話 (全21話)

© 2020 siina megumi

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