モノレール、

途中の人間(第12話)

siina megumi

小説

854文字

母 ナデカ
息子 デン

この親子の「シゴト」は、この世に不要で無価値になってしまった人間を、社会的に追い詰め自殺させることだった。

誰の人生も決して変えることなく、デンは当然のようにそこにいた。いかなる評価も欲してはいないという感じだった。
ナデカ「おわりました」
開けてきたナデカが置くように言った。
デン「誤った傲慢さだ。この世にはいらない」
何を言ったのか佐茄はよく聞き取れなかったが、
デン「次は?」
それはバッチリと聞こえていた。
ナデカ「・・・帰りに想ってたんだけど、めぼしいのが居るから、ちょっと着いてきて。出来ることならこのままもう一人いこう」
デン「えー。何かないの? ルリエについて一言とかさ」
ナデカ「ルリエ?」
一瞬ではあるが、本当にその名が何のことか分からなかったようだ。
デン「まぁいいよ。じゃあ佐茄ちゃん後はよろしく」
ナデカはほんの軽く会釈した。
デン「佐茄ちゃん!」
「・・・どうした」
デン「俺とナデカのことなんか気にしないで、縦横無尽に生きろよ!」

 

 

街の中をモノレールがゆっくりと動いていた。客は三人。デンと、ナデカと、もう一人。
ナデカ「あいつ」
ナデカは広げた雑誌を膝上に被せていた。
デン「学生? なんつーか・・・ヨワそうだな」
ナデカ「面接に来そうなの。わたしが今居る会社に」
デン「どんな感じのヤツ?」
ナデカ「人生の結論と社会の結論を共に人任せにしてるっていうタイプ」
デン「・・・どゆこと?」
ナデカ「えぇ。考えてみたのに。デンに分かりやすい言い方」
デン「ろくでもないやつってことでいいの?」
ナデカ「間違いないよ。ルリエどころじゃない」
デン「そうか」
ナデカ「まぁ少しずついってみよう」
その者が降りるようなそぶりを見せたので、雑誌を閉じて組んでいた脚を解いてバッグを持った。
ナデカ「あれ帰宅中だから、軽く接触してみよう」
デン「悪い、俺は行くところあるから、母さんひとりで行って」
ナデカ「わかった。一通り済んだら連絡する」
デン「はい」
一言も何も聞くことなく、ナデカは追うため立ち上がってモノレールを降りて行った。
デンしか居ない。
それでもモノレールは進んでいく。
この世を人任せにするように、デンはそこでゆっくりとしていた。

2020年2月20日公開

作品集『途中の人間』第12話 (全15話)

© 2020 siina megumi

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