Flash Back #31

Flash Back(第31話)

菊地紀寿

小説

962文字

迷走する奔走#2

コーヒー片手に二人で換気扇に向かって吐き出す白い煙
空調が効いている部屋を出ればムッとした外気を浴び
酒で弱った体で帰宅しなければならない
ほんの少し帰るのを遅らすためか冷め始めたコーヒーを飲み干す口実に2本目の煙草に火をつけた

 

何気なくキッチンの棚を一瞥すると見た事のある白いボトルを見つけた
白いボトルはプラスチックで形成されラベルは無く黒いマジックでEPHと書いてある

「これ俺の家にもあるわ」
古川は棚に置いてあるボトルを指さしていた
「一之瀬先生からもらったんだよ、鬱にも効くサプリらしいんだわ」
「俺にはアイツ、マルチビタミンとか言ってたぞ」

その一言で二人の顔つきが険しくなった
互いに同じ物を所有しているが聞かされてた内容が違う
本当は薄々二人は感づいていた、麻理弥が怪しいことを
2人が幻に遭遇する理由を麻里弥は知っているのかもしれない

 

「もう少しだけ、この家にいていいか?このEPHの意味を調べたいんだ」
「タブレット渡すわ」

吸いかけの煙草を消し二人はボトルに書かれたEPHを調べだした

 

暫く部屋には無言が漂っていた
馬渕はパソコンで古川はタブレットで幻覚の原因を突き止める突破口になるかもしれないEPHの意味を探していた

調べて出てきたもので関連がありそうなのが2つあった

EPH受容体と原発性肺高血圧症だ
「EPH受容体は脳の中枢神経系?タンパク質とも書いてあるぞ」
「随分こいつは難解だな、医大出身なら解りそうだが専門用語が多すぎて俺らには手が負えない類でしょ」
「原発性肺高血圧症は肺の病気だから喫煙者の俺らに関係ないか」
「症状が酷いと失神や家でも歩くのが辛いって、昨日は酔って歩いて帰れたはずだよねぇ?」
「俺の補助付きだけどな」
「はぁ~何の隠語だよEPHは」

 

完全に手詰まりになった、希望は消え失せ幻と共に生きなければならない
そんな絶望を見て見ないふりができるだろうか
お手上げ状態の二人は吸い込まれるようにキッチンに行き
煙草を吸いながら無の感情に包まれていた

換気扇に吸い込まれる、ゆらゆら動く副流煙を見て古川は馬渕の言葉を思い出した
隠語か……隠れてる言葉ってことは…

 

「略語だろ!!」
古川の急な一言に馬渕は少し驚いている
「お兄さんAB型?」
「そんなことは、どうだっていい調べ直しだ」

2019年8月11日公開

作品集『Flash Back』第31話 (全33話)

© 2019 菊地紀寿

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