Flash Back #10

Flash Back(第10話)

菊地和俊

小説

841文字

憂鬱と快感#8

「患者のプライベートまで監視するなんて先生も人が悪いな」

皮肉交じりにマリアに投げかけた言葉に後悔なんてなかった
普段の白衣からわからない彼女から溢れ出る妖艶さに心を踊らしている
ビールのせいで妖艶さは2割増に見えてるかもしれない

「初診で見せた可愛げは今は見当たらないわね何処に置いてきたの?必要なら探すの手伝ってもいいのよ」

皮肉を返してきた彼女に俺はやられた
それから彼女と深い仲になるのに余計な段取りは必要としなかった

マリアなんて名付けたけど彼女の名前はマリヤ
妄想の末の渾名の母音は偶然が重なり

無意味な偶然は運命なんて言葉に絆され踊らされた

 

本当にこれが正しかったのか今だに迷うときもある
寂しさゆえの情熱を濡れるのが当たり前な季節の雨じゃ冷ますことはできなかった

物凄い勢いで浴槽から飛び起きた
全身で激しく息をしながら上半身から水滴が滴り落ちている
いったいイツから風呂場にいたんだ俺は
無意識に湯に浸かるなんて初めてだ

「随分と長かったのね」
風呂に入った記憶がほぼ無いので気の抜けた返事しかできなかった
入浴する前の記憶はベットの中にいた事

気付いたら湯船に浸かってたなんて彼女に言えなかった
プライベートで彼女の家で診察なんて白けるだけだ

 

それからは診察に行く機会は減りはしたが
彼女に逢う頻度は増えた

薬も飲むのは忘れるのがザラで酒の量は少し増え2人の関係も少しの間は良好だった

薬ではなくサプリメントを彼女から貰った
白いプラスチックのボドルにラベルは無く黒いマジックでEPHと書いてある
そいつをたまに飲むぐらいで抗鬱剤と睡眠導入剤は必要なくなった

そして通院することも無くなりマリヤとは疎遠になった

仕事は順調で女性のクライアントと関係をもつなんて事もたまにある
倫理観や道徳観が無いと言われればそれまでだけど所詮は男と女、本能には逆らえない

そしてその本能はマリヤと疎遠になる1つの要因となった

燃え上がるのが速く鎮火も速かった
後悔なんてない、思い出さなかったから

アイツと知り合うまでわ

2019年7月27日公開

作品集『Flash Back』第10話 (全29話)

© 2019 菊地和俊

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

ミステリー 純文学

"Flash Back #10"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る