Flash Back #7

Flash Back(第7話)

菊地和俊

小説

980文字

憂鬱と快感#5

chapter one

 

浮遊感に包まれた
目を開けると水の中のようだ
ここは海なのか深い水槽なのかプールなのか
水泡が一つ二つと目に映る

目を閉じて耳を澄ましてみとるが無音だ
ゆっくりと目を開けると浴槽の中にいた
見たこともないバスルーム
近くには便器がある
ユニットバスとは違う
それは空間の広さが証明している

浴槽から出ると服を着たまま入浴したらしい
全身ずぶぬれでタオルを探すが見つからないのでバスルームを出た

 

ドアを開け移動すると自分の部屋にいた
見馴れた家具を見ても違和感がある
ここは自宅ようだが自宅ではない
そんな気がしてならなかった

ふと両手を見ると濡れていない
服も水分を含んでいない
全身が乾いている
迷宮に迷い込んだアリス
そんなふうに自分が思えた

後ろを振り返るとドアは存在しない
もう一度部屋を見渡すと視界が崩れはじめた
サルバドール・ダリの記憶の固執みたいに目の前が溶けている

 

予期せぬ出来事に直面しているはずなのに
慌てふためきもしない

これこそ不動心と言えるのかもしれない
もしくは思考の停止

どちらも起動しないさまだろう
もうすぐ終りが近づいている
それだけは確信していた

理由は単純、終りの感覚を察知したから

景色は存在せず女の声だけが響いた

「無駄な足搔きよ 忘れるなんて」

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#2

薄明かりの中で目を覚ました
人工的な光は部屋の内外から射し夜だと教えてくれる

さっきの奇々怪界な夢の余韻は淡く漂っていた
ボーっとした頭とベットの感触
夢で見た無機質な部屋と違い
高い湿度を感じれる部屋は温もりがある

普段なら不快に近い多湿は現実味を帯びている証に思えた

夢の最後に女の声を聴いた気がする
女が言った言葉は思い出せないが声は強く印象に残った

2019年7月27日公開

作品集『Flash Back』第7話 (全29話)

© 2019 菊地和俊

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