Flash Back #4

Flash Back(第4話)

菊地和俊

小説

918文字

憂鬱と快感#2

スポーツジムが併設されているコンシェルジュのいるマンションに住み
仕立てたスーツに値段のはるシャツとタイピン
英国産のビジネスシューズ

 

傍から見れば典型的な成功したビジネスマンなんだろう
キッチンでビールを飲み煙草を吸いながら思う
生き甲斐なんて持ち合わせていない
いや、離婚した時に生きる活力をどっかに置いてきた

 

別れた女房にすすめられて買ってしまった赤い2シーター
結婚というトラップにかかって欲しかったはずの90年代に発売された黒いバンを買いそびれた
欲しかった車は車体価格で100万もしないのに5倍以上する鉄屑に毎日乗っている

 

女選びも車選びも失敗したけど再婚も車の買い替えも気が進まない

 

まさに無気力だ金は使いたいと思う力がないとあっても意味がない
訪れる毎日を惰性でどうにかやりくりしているのが現状で
気づけばスーツに着替え赤い鉄屑に乗り会社に向かっている
あの頃に勢いで買ったコイツのハンドルは月日が経ちすぎたせいで自分の手に馴染んでいる
鉄屑なんて表現してるが愛着はあるのは否めない
この車を買うきっかけをくれた女には今では愛なんて微塵もないが
こいつを買うきっかけをくれたのは多少感謝している

 

渋滞はしていないがそれなりに混んでいるが流れている金曜の朝の道路
信号待ちで隣の車から視線を感じた

 

見てみるとスキンヘッドにサングラスをかけた男が車内からこちらを見ている
明らかに笑ってるのがわかった
こちらも笑い返そうかと思ったが止めて前を向いた

 

信号は赤のままなのでスキンヘッドに微笑んでみようと思い左を向くとさっきのスキンヘッドではなく見えるのはトラックのドアになっている
おかしいさっきは隣に止まっていたのは白いステーションワゴンだったのに
呆気にとられてトラックのドアを見てると後ろの車からクラクションを鳴らされた

 

車を走らせながらさっきの事を考えていた
おかしい確かに隣は白のステーションワゴン
ドライバーはサングラスをかけたスキンヘッドの男
ぱっと見てわかる筋骨隆々な体

 

都会の大通りで白昼堂々と幻でも見たのか俺は
そんな自問自答をしながら運転してると会社に着いた

2019年7月27日公開

作品集『Flash Back』第4話 (全29話)

© 2019 菊地和俊

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