Flash Back #3

Flash Back(第3話)

菊地和俊

小説

855文字

憂鬱と快感 #1

#1

明るい部屋で目を覚ました
どうやらテレビも電気をつけて寝てしまったらしい

 

最近の木曜日の夜は気づいたら寝てるってのが癖になっている
仕事の疲れなのかもしれない
決まっておかしな夢も見ているが起きてすぐに忘れはじめるから金曜日の朝には内容は白紙になる

 

実家にいた頃母親がテレビも電気もつけてイビキをかくさまを見て呆れていたが今となっては母親の気持ちがわかるようになった

歳をとると疲労感のおかげで光も音も関係なく寝てしまう

 

老化は心の成熟なんて言ってるやつがいたが年寄りの冷や水にしか聞こえない老いていくのが人生、体力が劣化すれば心も萎える
若い時の勢いは愚かかもしれないがリスタートが標準装備

 

時間と体力があるのが若さの証拠
こんな事を夜明け前に思うなんて初老の階段を登っている事を痛感した

 

銀色のタンブラーを覗くと冷水の中に幾ばくか原形を留めている氷が浮かぶ
直径約7cmの水面に漂うこの氷は今の自分のようだ
自発的な存在意義など微塵も感じられずに社会と言う水面に漂っている
今の自分を反映してくれたタンブラーの中身を飲み干しバスルームへ

 

気怠い体を烏の行水で洗い流し洗面台の鏡に映る自分
39年と数ヶ月連れ添った顔だが一向に好きになれない
この顔が好きになれないので今だに写真をとられるのが苦手だ

 

気づけば外は明るくなってきいた
初夏の日の出は早く4:30過ぎには青白い空に切り替わる

 

ソファーにもたれてザッピングしているとウェザーチャンネルで手が止まった天気予報のみのシンプルな番組を見て物思いに少しだけ耽る

何不自由ない生活に物足りなさを感じている

 

着飾った欲望しか側にない現状がもたらすのが空虚
本当に必要なものだけを残し無駄を削ぎ落とせれば幸いだが

 

シンプルなライフスタイルにリノベーションしたって
無気力を変えられる原動力になりそうにもない
部屋のように心も模様替えできれは楽だが
そうは問屋が卸さないのが人生、まさに世知辛い

2019年7月27日公開

作品集『Flash Back』第3話 (全29話)

© 2019 菊地和俊

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