外は薫風(くんぷう)が似合いそうな快晴だ
空気中の水分量なんて体感できない現状で
喧騒の彼方 静寂に放り込まれ揺曳(ようえい)している
でもここで黄昏ていても暇を持て余すだろうし
いい機会だ、魂だけで外出してみよう
散歩してたら死神にばったり会うってのもあるかもしれない
まーその時は大人しく三途の川なり、お花畑なり連れてってもらおう
窓辺から視線を外し振り向くとベットに寝ていた自分が起き上がりこちらを見ている
明らかにこちらを見て喋ってるのがわかるが音が聞こえないので理解できない
酸素マスクを左手に持ち嘲笑うような顔で俺に話しかける俺
でもおかしい
ベットで話しかけている俺は俺じゃない
自分で自分を見ながら気味の悪い違和感を感じた
自分で自分を見る、それこそ違和感だけど何かが違う
時折身振り手振りで話しかけて一人で大笑いしている
注意深く観察していると一つの違いに気づいた
喋ると同時に行われれる下品な身振り手振りだ
やっぱり中身は別人の俺だ
話しかけてくるベットの上の俺がため息をつき頭をかいてまた話しはじめた
魂の俺は少しずつ視界が狭まりながら少しずつ音が聞こえてきた
だんだん音はクリアーに視界は真っ白に
俺じゃないの俺の声が鼓膜に鮮明に響いた
「これからが本番だ気持ちよく苦しめ」
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