大問2 転勤の多い会社に勤めているサユリさんは、通勤用に自動車を所有しており、自宅近くに駐車場を借りている。以下は、その駐車場の管理会社である原パークとサユリさんが締結した契約書の一部である。これを読んで、後の問いに答えよ。
<駐車場使用契約書>
貸主 原パーク(以下、「甲」という。)と 借主 ○○サユリ(以下、「乙」という。)は、次のとおり駐車場の使用契約を締結する。
第1条 合意内容
甲は、乙に対し、甲が所有する下記駐車場を自動車1台の保管場所として使用する目的で賃貸する。
(駐車場の表示)
住所 東京都新川市新川朝日町2丁目3番地
名称 原パーキング第1
駐車位置番号 11 番
第2条 期間
乙の使用する期間は、平成28 年4月1日から平成29 年3月31 日の一年間とする。契約期間満了までに甲、乙いずれか一方から何等の申し入れがない時は、さらに一年間の契約が自動的に更新されるものとする。
第3条 駐車料金
乙は、以下のとおり駐車料金を支払うものとする。
敷金(※注) 金20,000 円
月額駐車料金 金21,600 円(税込)
支払期日 毎月末日までに翌月分を支払うものとする
支払方法 甲指定の銀行口座への振込
第4条 駐車料金の改定
甲は、この契約期間中、物価の変動、経費の増加、近隣駐車料金その他のA経済情勢の変動により、月額駐車料金が不相当と認められるときは、これを改定できるものとする。
第5条 乙の注意義務
乙は、駐車場の使用にあたって、次のことをしてはならない。
(1) この契約により取得した権利を他に(ア)ジョウト又は転貸すること。
(2) 他の駐車場使用者の迷惑となること。
(3) 爆発物や危険物等、法律で禁止されているものを持ち込むこと。
(4) 甲が定める駐車場の管理規則に違反すること。
第6条 解約事由
乙に次のことがあった場合には、甲は何らの(イ)サイソクを要せず、この契約を直ちに解除できるものとする。
(1) 駐車料金の納期期限後、1か月を超過しても支払いがないとき。【 ※ 】、その場合は、超過した1か月分についても駐車料金が発生するものとする。
(2) 前条に定める注意義務事項に違反したとき。
第7条 途中解約
契約期間中であっても、乙は甲に対して解約日の1か月前までに、甲は乙に対して6か月前までに書面により予告することによって、本契約を解約することができる。ただし、乙はこの予告なしに本契約を解約するときは、1か月相当額の駐車料を支払うものとする。
第8条 (ウ)ヘンカン義務
乙は、この契約を終了又は解約したときは、解約日の翌日から甲に駐車場を明け渡さなければならない。
(※注)敷金・・・土地の賃貸借に際して、賃料の支払いやその他の契約上の債務を担保するために、借主から貸主に交付される金銭のこと。
問1 傍線部(ア)~(ウ)のカタカナを、漢字(楷書)に直せ。
問2 空欄【 ※ 】に入るものとして最も適切な語を、次の①~④のうちから一つ選べ。
① それでも
② なお
③ それゆえ
④ おそらく
問3 傍線部A「経済情勢の変動」とあるが、『日本永代蔵』・『世間胸算用』で、経済情勢の変動に翻弄される江戸時代の町人を描いたのは誰か。適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。
① 小林一茶
② 上田秋成
③ 井原西鶴
④ 松尾芭蕉
問4 次に示すのは、本文を読んだ4人の生徒が話し合っている場面である。本文の趣旨と異なる発言をすべて選べ。
① 命令調の文体から、原パークの高圧的な態度と、それに翻弄されるサユリさんの諦念が読み取れるね。
② 直喩表現を多く使用することで、サユリさんの「この契約書を細部まで確認しよう」という意欲をかき消そうとしているね。
③ サユリさんは、車を手放して、西武線沿線で駅前の安いアパートを探した方がいいと思うね。婚活も都心に出て行うことになると思うからね。
④ 「駐車場」が、今後も転居し続けていくであろうサユリさんの人生の儚さの隠喩として機能していると思うよ。
問5 この本文の作者名を、漢字(楷書)で正確に答えよ。
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