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メラヌーチア探検譚(第2話)

犀川鉄世

小説

1,009文字

我々は初めに、ムルーパの首都・ウーズでガイドを営むルヴェドを訪ねた。ルヴェドは我々の許に巨大なラヌーチの情報をしらせてくれた人物だ。

 

現地時間の正午すぎ、我々はウーズに到着した足でルヴェドの住居を訪ねたが、彼は不在だった。
我々はルヴェドの本業が漁師であることを思い出し、最寄りの港に向かった。

 

ルヴェドはちょうど漁を終えたところのようだった。漁師仲間と談笑していた彼は、我々の姿を認めるとこちらに手招きをした。促されるままに近づき、彼らと挨拶を交わす。
彼の小舟を覗くと大きなアンフィスが2匹、その巨体をのたくらせていた。極彩色の鱗と長く鋭い牙が目を引く。
ルヴェドによると、これはペンドゥーという名のアンフィスで、最大3レーテルにまで達するのだという。乾季が近づくと泥に潜って繭をつくり、その皮膜の中でじっと雨季を待つのだそうだ。

 

我々はルヴェドに今回の旅の目的と、彼をガイドとして雇いたい旨を伝えた。
すると、ルヴェドの長い耳が根元から折れ曲がった――「拒絶」を意味するドゥデュ族の合図だ。
理由を問うと、今はペンドゥーの活性がもっとも高まる時期であるため、漁に専念したいとのことだった。ペンドゥーはきわめて栄養価が高く、また薬としても重宝されているため、1匹につきおよそ1ヶ月分の生活費に相当する値で売れるのだという。さらに彼は、血液に猛毒を含むペンドゥーを安全に解体することができる集落でも数少ない職人のひとりであり、ペンドゥーの解体を請け負うだけでもかなりの収入が見込めるらしい。

 

諦めきれない我々は、可能なかぎりの報酬をルヴェドに提示したが、彼の耳は根元から折れ曲がるばかりだった。
代わりに、ルヴェドは我々に耳寄りな情報を教えてくれた。

 

ルヴェドによると、例の写真の持ち主はウーズから北西に20マーノほど離れたムズという集落で暮らすカイナという名の老人であるらしい。我々の手元にある写真は、ルヴェドが彼の祖父と親しかったカイナに頼みこみ、写真をさらにカメラで撮影したものだという。

 

また、ムズにはルヴェドの伯父一家が居住しており、ルヴェドの従妹にあたるメルジが彼に代わってガイドを請け負ってくれるだろうとのことだった。

 

現地時間の午後一時――すぐに出発すれば、日が暮れる前にはムズに到着できるはずだ。
我々はルヴェドに礼を言って、ウーズを発った。

2019年1月2日公開

作品集『メラヌーチア探検譚』第2話 (全8話)

© 2019 犀川鉄世

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