早瀬少年記 第2章 再会

少年記(第21話)

永夜 はまか

小説

904文字

「2017年2月、中学3年生だった僕は、私立の中高一貫校を受験した。
本音をいうともう学校になんて行きたく無かったのだが、今時中卒はキツい。何かこれといった特技でもあれば話は別だったが、あいにく僕にはそんなものはなかった」ー本編より引用

 中学時代、とある原因でいじめに遭って不登校になっていた昇であったが、そんな彼も高校に行く決意をする。そして迎えた入学式、昇を待ち受けていたのは・・・・

2017年2月、中学3年生だった僕は、私立の中高一貫校を受験した。

本音をいうともう学校になんて行きたく無かったのだが、今時中卒はキツい。何かこれといった特技でもあれば話は別だったが、あいにく僕にはそんなものはなかった。

 

渋々僕は、家が近く、進学校で、不登校だった生徒でも学力があれば入学できる、その学校を受験した。

試験は、5教科の筆記試験だった。特にわからない問題もなく、あっさり終わった。

一週間後、試験の結果が速達で届いた。封筒に入っていた紙には「合格」と書かれていた。

 

4月5日、僕は「名志高校」に入学した。入学式の1時間以上前に登校し、教室に案内された僕は、1人で本を読んでいた。

そんな時である。扉がガラガラと音を立てて開いた。そして、目の大きな1人の少年が入ってきた。

そして、その直後、その場に凍りつく僕にこう言った。

「はじめまして〜、えっ、もしかして君も新入生? 」

「そっ、そうだけど」と僕が答えると彼は話を続けた。

「え、ホントに? 今後ともヨロシクな」

「おう・・・・」

僕がそう言ったところで、彼の顔が急に真剣になった。そして彼は、

「あれ、もしかして、君・・・・」と言った。

僕は焦った。顔が真っ青になった。中学の入学式での最悪な記憶が蘇った。頼むから今ここで時間が止まってくれ、と思った。しかし、彼の口から飛び出したのは意外な言葉だった。

「君が今読んでんの、万城目学やん! 僕めっちゃ好きやねん」

まじか、と僕は思った。なぜなら万城目学は僕が一番好きな小説家だったからだ。こんなところで彼のファンに出会えるとは思っても見なかった。なかなかいいセンスしてんな、こいつと思った。

「え、まじで? 僕もファンやねん」と僕は言った、と同時に僕は彼の顔を見ていて思い出した。

 

こいつ、去年の夏に駅前の階段を叫びながら落ちてきた奴だ。

 

衝撃の事実に気付いた僕に気付かず、彼は、真顔で僕にこう尋ねた。

「君、名前は? 」

「早瀬 昇、君は?」

僕がそう言うと彼はこう言った。

「僕? 僕は梶井 宇宙や、変な名前やろ。へっへっへ」

2017年11月11日公開

作品集『少年記』最新話 (全21話)

© 2017 永夜 はまか

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

いじめ 学園モノ 実験的 少年 純文学

"早瀬少年記 第2章 再会"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る