早瀬少年記 第1章 出会い

少年記(第20話)

永夜 はまか

小説

1,221文字

「 2001年、6月29日、早瀬 昇は悪臭漂う生ごみの詰まった三角コーナーの中に生まれた」

ー梶井少年記スピンオフ小説。
これは、梶井 宇宙と早瀬 昇の出会いの物語である‥‥

(これから読んでも楽しめます)

2001年6月29日、悪臭漂う生ごみの詰まった三角コーナーの中で、僕は生まれた。

世の中はホントゴミみたいな奴らばかりだ。テレビでニュースをつければ、自分とは一切関係のないゴシップニュースで世間が騒いでいる。芸能人の浮気でも発覚しようものなら、赤の他人である浮気をした芸能人を、テレビなどでちらっとそのニュースを観た奴らが叩く。

よほど暇な奴ばかりなのであろう、それとも偽善か。はは・・・・

こんな風に、クラスでゴシップニュースの話で盛り上がってる連中を眺めて嘲笑っている僕もまたこいつらと同じ、いや下手したらもっと質の悪い生ゴミだ。高校生の時まで僕はそんなことばかり考えながら生きてきた。

 

僕はクラスで憂き目にあっていた。

 

一番最悪だったのは、中学生のときだ。僕は酷いいじめにあっていた。入学式の日から三年間、クラス全員から無視され続け、授業中も休み時間も僕のことをコソコソと噂して笑っていた。噂で聞こえてきたところによるとSNSでも僕の悪口を言い合っていたらしい。

多分、授業をしている教師の中でもいじめに気付いていた奴もいた。でも僕に手を差し伸べる奴は一人としていなかった。本当にクズみたいな奴ばかりだった。

僕は昼食を食べる時も、休み時間も、ペアを作れと言われた体育の時間もいつもいつも一人だった。

僕はずっと本を読んでいた。本の中では僕は幸せだった。本を読んでいる間だけは、僕はクソみたいな現実を忘れられた。

 

しかし、それすらも、僕には許されなかった。

 

中2の二学期のある日、僕が学校に登校すると、僕がお小遣いで買った読みかけの小説が、前日に置いておいた筈の机の上から消えていた。

それに気付いた瞬間、僕はとても嫌な予感がして、頭が真っ白になった。そして、その嫌な予感は的中した。僕の小説は大量に鼻をかんだティッシュの入ったゴミ箱に捨てられていた。

僕は、いくら無視されたって、嘲笑われたって耐えられた。でも僕はこれだけは耐えられなかった。腹が立ったし、哀しかったし、そして何より悔しかった。僕はこっそりトイレに行き、1人で声を上げてわあわあ泣いた。

そして、次の日から、僕は学校に行くのを止めた。つまり不登校になった。

親は、学校に行けとは言わなかった。いや、正確には言えなかったのだ。

中学の入学式前日のあの事件以来、僕は両親と一切口を聞いていなかった。

 

そんな僕の転機は、中3の夏休みだった。雨が恐ろしく降った次の日に、僕が本を買うため、止む終えず外に出た。そして、駅前の地下階段を降りきったところで、凄いスピードで、「うわぁぁぁぁぁぁぁ」と叫びながら、階段から滑り落ちてきた。

僕が、アホかと思って見ていると、彼は僕に向かってはにかんで去っていった。

ーこの時の男、梶井 宇宙が後に僕の運命を大きく変えてしまうことを、この時の僕はまだ、知らない ‥..

2017年9月13日公開

作品集『少年記』最新話 (全20話)

© 2017 永夜 はまか

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実験的 少年 純文学 青春、いじめ

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