日夏少年記 第7章 駆馬兄さん〈前編〉

少年記(第16話)

永夜 はまか

小説

702文字

 ここで 、僕の人生に大きな影響を与えた1人の男の話をしよう。
ほんとはこの本の前書きと後書きを僕は彼に書いてほしかった。約束もしていた。
 しかし、そんな彼はもういない。それでも僕には、あの日笑顔で笑っていた彼を、最期まで僕の背中を押してくれた彼を、「死」の一言でこの世の何処からも消してしまうのはあまりにも悲しいことに感じられた。と、言う訳で彼の生き様をここに残しておこうと思うー本文より抜粋

ここで 、僕の人生に大きな影響を与えた1人の男の話をしよう。

ほんとはこの本の前書きと後書きを僕は彼に書いてほしかった。約束もしていた。

しかし、そんな彼はもういない。それでも僕には、あの日笑顔で笑っていた彼を、最期まで僕の背中を押してくれた彼を、「死」の一言でこの世の何処からも消してしまうのはあまりにも悲しいことに感じられた。と、言う訳で彼の生き様をここに残しておこうと思う。

西暦1920年10月14日

日本という彼という男には小さすぎる島国に駆馬 疾斗は生まれた。

彼は勉強が出来て、かっこよくて、器用で、面白くて、大体のことはそつなくこなした。ただいつも何処か抜けているのだけが玉に傷だった。まあそれも彼の愛嬌であったのだが。

少年時代、僕は毎週彼の家に遊びに行った。彼の家には沢山の小説があった。彼の話はとても面白かった。

僕は彼と時間を忘れて話し合ったり、蓄音機で珍しいレコードを聴かせてもらったり、一緒にラジオを聴いたりした。

 

でも何より思い出に残っているといったら・・・・

そりゃあ、駆馬兄さんによる週十冊の本の貸出である。僕がある日ついうっかりと小説が書きたいなどと口走ったばっかりに、

「おぉ、それなら色々な本を読んで勉強する必要があるな。よし、俺が本を貸してやろう」

などと言って、

「えっ、え」といって戸惑っている僕を無視して、一方的に本を僕に週十冊ずつ本を貸し出すようになった。

まあ、でも、この「週十冊の本の貸出し」がなければ、僕があれほど小説家になることを熱望し続けることはなかったのかもしれない。

ーそして何より、駆馬兄さんがいなければ、今の僕はいない。

2017年7月26日公開

作品集『少年記』第16話 (全21話)

© 2017 永夜 はまか

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