梶井少年記 第7章 新聞ノート

少年記(第11話)

永夜 はまか

小説

985文字

中学三年生になった梶井宇宙。
高校受験が迫る中、老人が週10冊の本の貸し出しに変わって少年に課したものとは?

  少年が中学3年生になった時、老人はこう言った。
「君ももう受験生じゃ。週に10冊も本を読ます訳にはいかん。よって今週から1冊にする」

少年が極端なじじいだなぁと思っていると、唐突に
「君のお父上は新聞をとっているのかね」
と老人がきくので、
「とってはいますが、『毎日小学生新聞』です。うちに小学生なんていないのに・・・・」
と少年は答えた。すると、老人は
「ぬるいな少年。結局子供用が1番じゃわい」
と笑ったかと思うと、
「よし、では今日から君には新聞ノートを毎日つけてもらう」
と老人はいった。

 

「新聞ノートって具体的に何すればいいんですか? 」
「毎小に載っている記事の中で自分が1番関心をもった記事について、400字程度で感想を書いて欲しい。そしてそれを日曜日にわしに提出してもらう」
「めんどくさ‥‥」
口ではそう言った少年であったが、少年は基本的に新しいことに挑戦するのが好きだったので、文句を言いつつも、結局はやってみることにした。
また、週に1回老人にノートを提出するというシステムも少年は嫌いではなかった。

 

友達との会話では自分はあまり話さず、相槌を打つだけだった少年にとって、自分の意見を誰かに伝えることが出来るのは、中々に楽しみであった。

では、何故友達とは一線を置き、相槌を打つことしかしない少年が、老人には自分の意思を伝えようと思ったのか。

「あの人は本気で死にたくない、と思ったことがある人だ。
誰が死んでも自分だけは生きたい、と思ったことがある人だ。
自分にはなんとなくそれが分かったんだ」

後に少年はそんなことを言っていたという。
幼い頃から死を恐れていた少年にとって、老人は唯一、自分のことを理解出来る大人だったのではないだろうかー

 

新聞ノートをはじめた少年は、様々なニュースについて書いた。

ドローンの今後について書いた時は白熱した議論が繰り広げられたし、テロ関連のニュースについて少年が書いた時には、テロに対して世界が抱える課題とその解決策について時間を忘れて2人で考えた。

新聞ノートを書いていて、少年はあることに気づいた。それは、自分は文章を考えるのが好きであり、自分の考えを誰かに話すのがとても好きだということだ。

 

新聞ノートは結局、梶井少年の一生の日課となった。

2017年7月16日公開

作品集『少年記』第11話 (全20話)

© 2017 永夜 はまか

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