梶井少年記 第3章 老人の目的

少年記(第4話)

永夜 はまか

小説

1,163文字

日曜日になり、憂鬱ながらも老人の家を尋ねた梶井 宇宙。
そんな彼を待っていたものとは?

「遂に来てしまったか・・・・」

日曜日の朝、少年は起きあがった途端に憂鬱になった。やたらに寝室の窓から見える空が晴天であったことも少年の憂鬱さを加速させた。

午前8時45分、少年は老人の家に向かって歩き始めた。
早目に家を出た為に約束の5分前には少年は老人の家についていた。少年は早速チャイムをならそうかと思ったが、その前に表札で老人の苗字を確認しておくことにした。少年は表札を覗きこんだ。表札には、
「日夏」と書かれていた。
少年はなんとなくこの苗字を知っているような気がしたが、そんな筈はないと思い、チャイムを鳴らした。

 

「おお、来たか、弟子よ」
老人は弟子という言葉を強調してそう言い、わざとらしくカッカッカと喉で笑った。
「まあ、上がっていきなさい」
言われるがままに少年は老人の家に入った。そのまま少年は老人の家の茶の間に案内された。飾り気のない、昭和の映画に出てくるような部屋だなぁと少年は思った。
数分後、老人の妻によってお茶が運ばれて来た。老人の妻はにこやかに少年と老人の前にお茶を置いて出ていった。
老人の妻は優しそうな人で、先程の笑顔を見る限り昔は相当の美人であったことが予想された。

少年が静かにお茶を飲んでいると、老人が唐突に「さて」と言った。
「今日ここに来てもらったのは他でもない、君に日本を変えてもらう為じゃ。」
老人は顔色ひとつ変えずにそう言った。
「どう変えるのですか? 」
「それは後々話すつもりじゃ」
老人がお茶をすする。

少年はとてつもなく焦った。このジジイは何を言っているのだろうと思った。
もしかしたらこのジジイも国会の前でしょうもないデモでもするつもりなのだろうか?
本当にそれで日本が変わるとでも思っているのだろうか?

しかし、少年には目の前の老人が、国会前でしょうもないデモをするようには見えなかった。

「この老人はもっとエライことを俺にさせる気だ・・・・」
少年は直感でそれを悟った。

 

少年は脳に浮かんだ
「僕は取り敢えず何をすればいいんでしょうか? 」
という質問をそのまま声に出して尋ねた。

「よく聞け、梶井君。日本を変えるためには幅広い視野と知識が不可欠なのはわかるな」
「はい」

幅広い視野と知識が大切だというようなことはよく学校でも言われるが、このジジイが言うと何故か説得力が感じられるなぁと、少年は思った。そのぐらい老人には貫禄があったのだ。

 

「よって君にはわしから宿題を出したいと思う」
「どんなですか? 」
「今から君に本を何冊か貸す。君はこれらの本を読んで、次の日曜日に返しにきてくればいい」
「えっ・・・・」
少年がそう言っている間に老人は本を取りに行き、10冊の本を紙袋に入れた持ってきた。

 

2017年6月27日公開

作品集『少年記』第4話 (全13話)

© 2017 永夜 はまか

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