家畜がいる村

応募作品

瀧上ルーシー

小説

3,595文字

※ エログロ注意 合評会2017年06月参加作。

ぼくはぼくの性器に前戯もなしにペニスを突き刺す。ぼくの口からはしゃがれた悲鳴が漏れる。ぼくはぼくの腰を掴んで音を立てながらペニスをヴァギナに打ち付ける。ぼくの手首と足首の鎖ががしゃがしゃと音を立てた。やってるぼくは気持ちがよかったしやられているぼくも乱暴にされて多少は痛いが慣れているのだから緩やかに快楽はやってくる。下から見るぼくの顔は快楽に塗れていた。上から見るぼくの顔は余裕のないどこか苦しそうな、だが諦めて快楽を受け入れている顔に見えた。ぼくは何度か体位を変え、まだ若いのにブラジャーをして生活していないから形が崩れている胸を引きちぎる勢いで掴み引っ張った。歯ブラシが小屋にないぼくの歯槽膿漏と精子が混じった臭いのする口からまた悲鳴が漏れ出す。

毎日のように男にやられているぼくのヴァギナはゆるかった。小屋の隅では雄の家畜がぼんやりとぼくとぼくの性交を眺めていた。家畜とのセックスに愛なんてないし情も湧かない。雄でも雌でも家畜は歳を取ったら廃棄される。無責任に何度でも中に出せるのが家畜との行為の魅力だった。妊娠してしまっても村の家畜専門の産婆が中絶してくれる。

ぼくは名前もつけてもらえないぼくの中に精子を大量に出した。これでしばらくは何もない村での生活のストレスに耐えられると思った。何世代も前から各家庭で飼っている家畜は声帯が潰れているのか、精子を出されるとぐえぐえと鳴いた。

愛なんてない。好意もない。家畜は家畜で同じ人間だとも思っていない。だがゆるいヴァギナでも精子はきちんと出た。

今、自分が人間の雄なのだと確認できた。

 

土沼村には住民が少ない。インターネットの通販を使っても今時届くのに一週間はかかる。ド田舎もいいところだった。舗装されていない道もたっぷりある。山に囲まれているため自転車に乗っても移動は酷く大変で、村の中の広場でスポーツをして遊ぶか、ゲームで遊ぶか、家畜とやるかくらいしか娯楽はなかった。近場にコンビニがないので大人達は煙草や酒を買うだけのためによく車を出していた。

教室で昼休み。ド田舎故か給食は出ないで各自弁当を持って来なければ昼食は食べられない。鍵がかからないロッカーにしまっていた鞄の中のぼくの弁当は既に食べられた後だった。よくあることだが腹は減る。教室に戻るとうちの学年は一クラスしかなくて男子がぼくを含めて五人、女子は三人しかいないのだが、男子四人と女子三人がかたまるように勢揃いしていた。

「服脱ぎなさいよ」吊目の女子がぼくに命令した。

「嫌だよ」ぼくがそう言うと、男子の一人がぼくの腹に思いきり蹴りを叩き込んだ。口から汚物と胃液が漏れる。女子達は笑いながらキタナーイなどと騒いだ。その場にうずくまって腹を押さえていると、男子が四人がかりでぼくの着ていた服をすべて脱がして、一つの玉のようにまとめると窓から校舎の外に投げ捨てた。この時点でぼくは半泣きどころか九割泣きだ。ロッカーにジャージを取りに行こうと、裸のまま廊下に出るとクラスメイト達がついてきて、同じ階にすべての学年の教室がある廊下で、「裸で廊下を徘徊している変態がいます! 変態のマゾなので裸を撮られると興奮して悦びます! 是非皆で写メを撮ってください!」などと騒いだ。

たくさんと言っても二十名にも満たないのだが、学校中の生徒が廊下に出てきて急いでロッカーまで行こうとするぼくの裸を写メに撮っていた。圏外の場所だらけなのに年頃なせいか皆携帯を持っていた。ぼくの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。ロッカーまで行くとぼくのジャージは無くなっていた。どうしようどうしようとあれこれ考えたのだが、これ以上に良い案が出なかったので、茶色い土丸出しの校庭まで出て、投げ捨てられたぼくの服を拾ってその場で着た。ところどころ土がついているだけで全然着ることができた。その一部始終を学校中の生徒が二階までしかないうちの校舎の窓から見ていた。

ぼくは泣きながら田んぼ道を通ってまだ学校が終わっていないのに家に帰った。ぼくは見た目も体型もよくないしおまけに吃音だから虐められるのだ。それ以外に虐められる理由があるとすれば性格なのだが、それは吃音や体型以上に治すのが難しいように思えた。

家の中のリビングにあるキーボックスから家畜の小屋の鍵を取ると、ぼくは親に無断で家畜とやることにした。親父も母さんも言わないだけで家畜とやっているので、ぼくが同じことをしても子供だからといって怒らない。家畜の小屋は念のため逃げられないように二重扉になっていて、それ以外は天井に空気取り入れ穴がついているだけで窓が無く、中からは外を見られないし、外からも中が見えない。餌は細切れの生の野菜や炊きすぎて余ったごはんや焼いただけのクズ肉やクズ魚をやっている。調味料は家畜には勿体ないので使わない。

ぼくは小屋に入ると電球の明りを灯した。全裸の雄と雌の家畜が電球のまぶしさに眠りから覚めたところのようだった。雄の家畜はお母さん専用だが、雌の家畜は親父とぼくの共用だった。何回も頬を思いきり叩きながら腰を振って、ぼくは家畜の中に出した。虐められた直後だったせいかいつもより気持ちが良かった。

村にある専門の飼育所で家畜は生まれて、大人になると土沼村の各家庭に飼われる。値段はそれなりにするらしいが、歳を取っても我慢して廃棄しなければ何十年も使えるし、飽きたら他の家の家畜と交換することもできる。親父が家で仲間達と飲んでいるところ盗み聞きしたのだが、元々のルーツをたどれば海外の貧しい人を捕まえてきて性奴隷にしたのだが、奴隷が子供が産んで数が増えたため、村の各家庭に奴隷が置かれるようになって、そのうちに呼び方が家畜になったらしい。東京のマスコミにでも知られれば大事件になるのだろうが、村人達はのほほんとかまえているし、村の警察官にとってはそんなこと昔から知っている公然の事実だった。家畜は大怪我をしたり歳を取り過ぎて性的魅力がなくなると、家畜を販売する飼育所が専門のミキサーにかけて豚の餌として売るらしい。それを廃棄と呼ぶ。最初家畜のことを知ったときは可哀想だと思ったが今はそうは思わない。彼女らは人間ではなく家畜なのだから。人間と同じ尺度で考えてはいけない。

お母さんの作った夕食を食べてすぐに眠った。尿意で目を覚ますと背中に硬い物が当たっているのに気づいた。それにいつものぼくの部屋より真っ暗だった。両手は後ろ手に拘束されていて、二つの足首も鎖で繋がれている。暗闇の中でしばらく目を開けていると少し見えてきた。自分の身体は女のものになっていて、下を向くと少し垂れた胸と茶色い乳首が確認できた。隣では美形の男が眠っていた。どうやって用を足そうかと考えていると、狭い空間の隅に排水溝があった。そこで屈んでぼくは尿をした。クリトリスとヴァギナの間の穴から尿は勢いよく飛んでいった。

意味がわからない。なんでぼくが家畜になっているんだ? しかも雌の。

夢か何かだろうと思い、石造りの硬い床の上で眠ったのだが、起きても薄暗い空間にぼくはいて、隣には雄の家畜が寝っ転がっていた。そのうちに、お母さんが朝の餌を二匹分運んできた。ぼくは抗議のため、縁を口でくわえると皿をひっくり返した。お母さんはぼくの腹にサンダルを履いた足で蹴りを叩き込むと無言で小屋から出て行って外から鍵を施錠した。

昼になってお母さんが雄の家畜と遊びにやってきた。家畜のペニスをくわえて射精させたり、性器を舐めさせたりしていた。お母さんのみだらな姿を見て、ぼくは軽く死にたくなった。ぼくは元のぼくに戻れるのだろうか? それともこのまま家畜として過ごしていつかはミキサーにかけられるのだろうか。お母さんはそれなりの時間雄の家畜と遊ぶと小屋から出て行った。時計がないので時刻はわからない。少しして昼食も持ってきてくれたのだが、今朝床にぶちまけたせいかぼくの分は持ってきてくれなかった。お母さんが小屋から出て行く前に話しかけようとしたのだが、喉からは悲鳴のような音しか出なかった。

そろそろ元のぼくの学校が終わるころだろうか? そんなことを考えているとまた小屋の扉を開けられた。殴られたのか瞼が腫れているぼくが目の前に立っていた。ぼくは好き放題にぼくの身体をいじくり回して、中に射精をすると小屋から出て行った。家畜のぼくから見る人間のぼくは始終醜く笑っているように見えた。元のぼくの中には家畜だった雌の意識が宿っているのだろうか。

あれからぼくは何度ぼくに精子を出されたのか。一ヶ月は確実に経っている、半年はどうだろう。小屋にはカレンダーなどない。依然ぼくは家畜ではない人間で学生のぼくに戻れていない。

この頃ぼくは意識というものの正体を漠然と考える。

2017年5月13日公開

© 2017 瀧上ルーシー

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