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文藝春秋・松井社長が全国図書館大会で文庫本の貸出中止を要請

2017年10月13日、文藝春秋の松井清人社長が第103回全国図書館大会で「文芸書系出版社の立場から図書館を考える」というテーマでの報告をおこなう。同報告では、図書館に対し文庫本の貸出中止を要請する模様だ。

2017年10月12日より開催されている第103回全国図書館大会において、文藝春秋の松井清人社長が文庫本の貸出中止を要請することがわかった。松井社長が登場するのは13日午後からの第21分科会「出版と図書館」で、「文芸書系出版社の立場から図書館を考える」というテーマでの報告をおこなう。

全国図書館大会は、1906年から開催されている日本図書館協会によるイベントだ。近年は毎年秋の開催が恒例となっており、図書館、学校、出版社、NPOなどが集い、図書館のありかたに関する講演や討論が実施されている。今回の103回大会では東京の国立オリンピック記念青少年総合センターが会場となった。

出版不況が叫ばれて久しい昨今では、出版と図書館の関係について議論が交わされることも多い。2015年には新潮社の佐藤隆信社長が又吉直樹『火花』などのベストセラー書の大量購入を批判する主張を展開し、話題となった。対応策として大手出版社と大手書店は、新刊の貸出を発売から1年間差し止める仕組みづくりを要望したが、今のところ実現されてはいない。

今回の松井社長の要求は、より焦点を絞り、文庫本についてのみ貸出規制をしようというものだ。松井社長は「本の面白さを教えてくれたのは,間違いなく図書館」と公共財としての役割を評価しつつも、「わずかな小遣いをためて本を買い,書棚に並べる喜びを教えてくれたのは,文庫本」だとし、文庫は借りるものではなく買うものであるべきだと主張する。

このアプローチは、これまでに出版社や書店から提案されてきたさまざまな図書館規制案のなかでは、出版業界と読書文化の双方を保護する意味で比較的妥当なアイディアであるように筆者には思える。これなら貧困が無教養に直結するおそれはないし、文庫の売上も確保できる。しかしこの場合、出版社はどんなに売れない文庫であっても絶版にすることが許されなくなるのだが、はたして文春にそこまでの覚悟があるのだろうか。実現可能性という点では、中途半端なアイディアであるように思えなくもない。

松井社長の報告原稿は、発表当日を待たずにすでに全国図書館大会のウェブサイト上で公開されている。誰でも自由に閲覧することができるので、詳細が気になった人はチェックしてみよう。