はめにゅー

武田泰淳の幻の作品「神鷲」が発見される 日中戦争末期、特攻隊を賛美

奈良大学の木田隆文准教授は今月23日、武田泰淳が特攻隊賛美のため執筆したこれまで知られていなかった文章を発見したことを明らかにした。

今月23日、奈良大学の木田隆文准教授は自身の調査により武田泰淳のこれまで知られていなかった文章を発見したことを明らかにした。

これは中国現地の日本人向け新聞「大陸新報」が特攻隊(神風特別攻撃隊)賛美・戦意高揚のために発刊した非売品の書籍である「神鷲」に掲載されたもので、文章のタイトルは署名と同じ「神鷲」である。約900文字の文章で、特攻隊の行為や自己犠牲精神について賛美的に書かれている。同書には他にも、大陸新報が募集した特攻隊に関する短歌や俳句が集められている。

武田泰淳は戦時中の1943年に「司馬遷」を発表し世間に知られ、また戦後には「ひかりごけ」など多くの作品を出したが、戦争末期に中日文化協会の翻訳者として活動していたころの詳細については良く知られていなかった。今回の発見はそれを埋める大きな成果となる。木田准教授は「神鷲」について「武田の文章は特攻隊の賛美に見せかけながら、当時の文化政策に対する批判の意図があった」としている。木田准教授は日中戦争期に中国に乗り込んだ日本人による文芸活動の研究に力を入れており、これからも当時の文学者に関して新しい発見がありそうだ。侵略に続き海を越えた文学者達や、戦争と文学の関りについて、これからの更なる研究の発展に期待したい。