はめにゅー

“学校では教えてくれない”「芥川龍之介『羅生門』とその時代」展開催中

日本近代文学館で、夏季企画展「教科書のなかの文学/教室のそとの文学――芥川龍之介『羅生門』とその時代」が開催中だ。教科書で初めて読んだ高校生も、むかし教科書で読んだきりの大人も楽しめるよう、趣向が凝らされている。

東京都・目黒にある日本近代文学館にて、夏季企画展「教科書のなかの文学/教室のそとの文学――芥川龍之介『羅生門』とその時代」が開かれている。『羅生門』は戦後の高校教科書に多く採用され、2003年には全社の国語教科書に掲載されるまでになった。なぜ「国民教材」となったのか、また教科書だけでは知り得ない『羅生門』の誕生、作品の背景、芥川の生涯なども紹介し、様々なメディアでの二次創作の広がりについても学ぶことができる。

1915年に発表された『羅生門』が国語教科書に初めて載ったのは1957年だという。戦前には小説が教材として用いられることはあまりなかったが、この年に夏目漱石の『こころ』や森鴎外の『舞姫』と同時に教材化された。筆者(32歳)も高校生の頃、教科書でこれらの作品に触れた。特に『羅生門』は『今昔物語集』を元に書かれたものなので、読みやすい文章でありながら古典への興味にもつながっていくし、またとても綺麗とは言い難い内容で――それゆえに多感な高校生の心をガッチリと掴むのか――どんな人間の心にも巣食っているであろう「生きていくための悪という人間のエゴイズム」を浮き彫りにしている。60年にわたり高校の国語教科書に掲載されているというのも頷ける。

なお、本展の見どころは「芥川龍之介の『羅生門』」だけにとどまらない。第2部として「文学の歴史を眺める――小説を中心に」というコーナーも設けられており、江戸から明治への読み物の変遷、活字文化の隆盛、さらに「販売頒布禁止」、「発行停止」、「安寧秩序紊乱」、「風俗壊乱」にも触れ、「政府がいつも正しいとはかぎらない。表現を一律に抑え込むことは社会の発展を妨げることでもある」としている。そう、かなり攻めている。手前ども「オンライン文芸誌破滅派」としても他人事ではないだろう。

会期は9月16日(土)まで。教科書だけでは学べない『羅生門』、「教室のそとの文学」をぜひ体感しに行こう。『羅生門』は青空文庫でも読むことができる。本展に行ったあと、高校のころを思い出しながら読み返すのもまた一興だろう。