「恐怖」をキーワードに、様々な名画の場面を読み解き、隠されたストーリーを魅力的に伝える本としてベストセラーとなった中野京子著・『怖い絵』シリーズ。この第一巻が発行されてから10周年を記念して、「怖い絵」展が開催される。同書のファンのみならず、美術にあまり詳しくない人でも楽しめるよう、「怖さ」のヒントと共に絵画や版画を楽しめるという。西洋美術史家ではなく、ドイツ文学者、西洋文化史科だという著者が特別監修しており、美術ファンにとっても新鮮な展覧会となるだろう。

ロンドン・ナショナルギャラリーの至宝ともいわれるポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》の初来日にも注目が高まっている。公式ホームページのトップページやポスターでもこの作品を強くアピールしている。他にもセザンヌ、ターナー、モローなど有名画家の作品も多数鑑賞することができる。中でもセザンヌの《殺人》はかなり意外性があるだろう。公式ホームページの「作品紹介」で中野自身の解説も読むことができるので、展覧会へ行く前に是非見てみよう。

本展では「1章・神話と聖書」、「2章・悪魔、地獄、怪物」、「3章・異界と幻視」、「4章・現実」、「5章・崇高の風景」、「6章・歴史」、これらの構成で様々な角度から「恐怖」を感じ取ることができる。中野は、10年前に初めて出した『怖い絵』の「まえがき」でこう綴っている。「――もちろん見る者を戦慄させるのが目的の真に怖い絵も扱っている。だが特に伝えたかったのは、これまで恐怖と全く無縁と思われていた作品が、思いもよらない怖さを忍ばせているという驚きと知的興奮である。」

兵庫県立美術館では9月18日(月・祝)まで。なお、10月7日からは東京・上野の森美術館でも開催される。すでにポスターを目にした読者も多いだろう。これまでにない切り口の展覧会だ。ぜひ足を運び、「知的興奮」を体験しよう。