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『大江健三郎全小説』が来夏より刊行 あの発禁作品も収録

デビュー60年を迎えるノーベル文学賞作家・大江健三郎の全集が、講談社より来夏刊行される。全15巻で、事実上の発禁状態となっている初期作品「政治少年死す」など入手困難な作品も網羅される予定だ。

2017年5月24日(水)、講談社は創業110周年記念事業として全15巻におよぶ『大江健三郎全小説』を刊行すると発表した。配本は2018年7月からの予定で、収録作には「政治少年死す」(1961)など現在入手困難な中短篇も多く含まれている。デビュー60年を迎えるノーベル賞作家を知るための決定版となりそうだ。

タイトルで『全小説』と銘打っているとおり、今回の全集では1957年のデビュー以来ほとんどすべての小説が網羅される。収録内容はテーマごとに分けられており、「共生」「父と天皇制」「女性性」「救済」といった副題が添えられた。来年7月の第1回配本では、「初期作品群③」と「ノーベル賞受賞をもたらした作品」の2巻が登場する予定だ。

なかでも大きな注目を浴びているのは、「初期作品群③」だろう。右翼団体からの抗議・脅迫で事実上の発禁状態となっていた「政治少年死す」が収録されるためだ。これは1961年に『文學界』で発表された作品だったが、前年に起きた実在の事件をモデルとしていたため、文藝春秋が脅迫される事態となった。以後書籍化されることは一度もなく、半世紀以上の時を越えて待望の初収録となる。

大江は誰もが名前を知る国民的作家でありながら、「難解そうだ」というイメージから意外と実際には読まれていない作家でもある。敬遠していた人こそ、この機会に大江文学に触れてみてはどうだろうか。なお、全15巻を予約すると大江のサイン色紙および生原稿の複製がプレゼントされるという。