トゥ・デファクトに譲渡されることで、今後のPubooはコンテンツの配信先として、honto、DLmarketが追加されることになる。また、hontoの会員サービスと連携するとともに、一定のダウンロード数に応じて書籍化も検討されるとのこと。DNPグループ書店ならではの取り組みとして、オンデマンド印刷による丸善書店での販売なども検討しているとか。

Pubooは2010年よりサービスを開始したセルフパブリッシングサポートサービス。電子書籍を販売することができ、2010年という早い段階でのリリースで話題になった。当時の運営元は起業家の家入一真が代表を努めたpaperboy & co. (現 GMOペパボ)である。

サービス開始当初はKindle Direct Publishingなどがなく、電子書籍配信のハードルが高かったため注目度もそれに比例したが、その後は徐々に注目度を落としていったようだ。特に2012年の佐々木俊尚氏による手数料値上げに対する怒りのツイートが象徴的である。

現在のPubooでは電子書籍の配信代行(ディストリビューション)には力を入れていないようで、あくまで「Kindleの端末でも読めるmobiファイルがダウンロードできる」という消極的な対応にとどまっている。Kindle利用者ならばご存知だろうが、電子書籍ファイル自体をKindleに入れるのは若干面倒な手間が必要なのだ。Webサイトのデザインも2010年ごろのトレンドからあまり進化していないことも含め、少なくとも熱心に開発されている印象はない。

こうした事情をふまえた上で、あくまで筆者の私見ではあるが、Pubooの譲渡は「落ち目サービスの売り抜け」のようにも見える。ブクログは書評系サービスでは読書メーターと同様の巨大サイトであるが、そのサービスを有するブクログでさえ電子書籍販売代行はさほど儲からないということなのだろうか。

かつて破滅派ではそのコンセプトに沿わない作品に対して「Pubooでやれ」というタグをつけることさえ検討したほど意識したサービスであったが、時代の趨勢は恐ろしいものである。