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リオの文学祭FLIPが開幕 早世のアングラ詩人・アナCを特集

リオで恒例となっている文学祭FLIPが開幕した。今年のテーマとなる文学者は、早世の詩人「アナC」ことアナ・クリスティーナ・セーザルだ。

ブラジル・リオデジャネイロで毎年恒例となっている文学祭『FLIP』が、6月29日(水)より開幕した。同文学祭では、毎回1人の作家をピックアップすることになっているが、今年は早世の女性詩人であるアナ・クリスティーナ・セーザルが選ばれている。

アナ・クリスティーナ・セーザルは1970~1980年代に活躍したブラジルのアンダーグラウンド詩人だ。国内では「アナC」の愛称で知られており、今なお若者からも根強い人気を誇っている。彼女を取り上げることで、より幅広い層の人々にブラジル文学への興味を持ってもらおうというのが主催側の狙いのようだ。

6歳の頃から詩の才能を発揮していたというアナCは、大学卒業後に詩人としての本格的な活動を開始する。すぐに同時代の若者たちから支持を得るが、しかし彼女の作品が大手出版社から発表されることはほとんどなかった。当時のブラジルはまだ軍政の時代で、検閲や弾圧が激しかったためだ。ジャーナリストの父のもとで育った影響もあったのだろう、アナCは文化運動に身を投じ、自らの作品を通じて表現の自由を主張し続けた。

こうした背景から、アナCはほとんど自主出版に近いような形でしか作品を発表していない。これがアンダーグラウンド詩人を呼ばれる所以だ。

なおブラジルは1985年に民政移管を実現するが、彼女がそれを見届けることはなかった。1983年に自宅から飛び降り自殺を図り、31年の短い生涯を終えたためだ。そうした劇的な最期も含め、アナCはブラジルの文学少年や少女たちにとっては、英雄的な存在として扱われている。早世の天才が神格化されやすいのは、どこの国でも同じなようだ。

詩は翻訳が難しい文芸ジャンルのため、なかなか海外の詩人の作品に触れる機会は多くないかもしれないが、現代ラテンアメリカ文学に興味がある人ならば一度はチェックしておきたい詩人の1人といえる。