日本文学研究者のドナルド・キーンが2月24日に無くなった。96歳だった。死因は心不全とされる。

ドナルド・キーンはアメリカのニューヨーク・ブルックリンでロシア系ユダヤ人の家系に生まれた。16歳でコロンビア大学に入学した後、東洋文化に興味を持ち、日本の古典である「源氏物語」に出会ったのがきっかけで日本文学の研究を始めた。太平洋戦争時には米海軍の通訳官となり、各地へ従軍する。戦後は日本への関りをさらに深めて日米を行き来しつつ、川端康成や三島由紀夫などの当時の日本文学者との交流やその作品の英訳を行った。菊池寛賞を始めとする日本の数々の文学・研究賞を受賞したり、朝日新聞の客員編集委員を務めるなどもしている。1986年には母校のコロンビア大学に「ドナルド・キーン日本文化センター」が設立され、2008年には文化勲章を受賞している。

2011年の東日本大震災以後は、日本への永住を決意して日本国籍を取得し、執筆活動や講演を行っていた。また、この春には全15巻からなる「ドナルド・キーン著作集」に別巻を加え完結する予定であった。2013年には新潟県柏崎市に文学館「ドナルド・キーンセンター 柏崎」が開設されている。