神保町ギャラリーCORSOで、「私たちは消された展」が2月11日から17日まで開催される。

インターネット、次いでTwitterやFacebookなどのSNSが普及した事により、多くのアーティストにとって表現や仕事の場が増え、手法も豊かになっている。しかし近年、それらのSNSにおいて掲載された作品や画像が、作者の意図や説明と関係なく、わいせつ・危険などと判断され作品が排除・削除されたりアカウントが凍結される事態が相次いでいる。

これらの事態は、SNSの運営者が意図的に行っていることもあれば、調整不足のAIが導入されたことにより作品を勝手にポルノと判断される事例、また特定の集団による集団通報などで意図的に招かれることもある。2018年3月には旧石器時代の石像「ヴィレンドルフのヴィーナス」がFacebookによりポルノと判断されたり、2018年12月にはTumblrがアダルトコンテンツの規制のためにAIによる画像判断システムを導入した所関連性の無い画像が次々とポルノ認定された事態は記憶に新しい。

「私たちは消された展」では、マキエマキや天野功はじめ、SNSから様々な理由で排除されたアーティスト達の作品が集められ展示される。参加アーティストは以下の通りで、紹介ビデオも制作されている

(削除実績は公式サイトより)

天野 功(写真家) インスタ垢バン3回 投稿削除3回
逢見一月(イラストレーター) 垢バンや凍結などは無し。投稿削除は2~3回。

作家活動が原因で専門学校の非常勤講師を解雇

木野正好(カメラマン/Tシャツ職人) facebook凍結2回
栗村新(写真家) FB投稿アルバムにおいて、お尻をメインに写した写真が2点削除される
酒井よし彦(写真家) インスタ垢バン2回 投稿削除3回 FB凍結2回
18% Gray Koichi Nomi(写真家) FBグループ削除1回 FB凍結1回 写真展撤去1回
howdygoto(写真家) FB削除2回
フクサコアヤコ(写真家) インスタ垢バン1回 Facebook、Twitter警告複数
MASADA-SUMMER(写真家) 各所にてID凍結の憂き目にあう
マキエマキ(自撮り熟女/写真家) インスタ垢バン5回。最短アカウント保持日数は3日。

この展は、神保町の著名なアダルト書店である芳賀書店が後援している。公式サイトでは、展示について

いつの頃からか猥褻、猥雑なものを忌み嫌い、臭いモノには蓋をするように封印する傾向を感じます。
美しい裸体にアートやポルノの違いがあるのでしょうか。

カトリック的価値観により宗教裁判で裸婦像が徹底的に排除された時代のようにコンピューターの価値基準によって排除されてしまうのです。

本展示はアートだのポルノだのを論じる展示ではありません。
凍結や削除、警告を受けるような作品を発表する作者がずれているのか?
裸体を性的なポルノ、猥褻と考えてしまう風潮がずれているのか?
これを問いかけるのが本展示の意図であります。

​​作品もそうですが、消されても消されても懲りない出展者の面々も展示物としてご覧下さい。

と説明している。ネットとアートの関係、また作品の形について改めて考えさせられる展示となりそうだ。筆者も、様々なサイトで3度に渡り作品を規制された身として、是非鑑賞しに行きたいと考えている。

「私たちは消された展」は神保町ギャラリーCORSOで、2月11日から17日まで開催される。開催中、11日の16時からオープニングパーティー、17日の15時からはアーティストトークも行われる。また、Twitterとfacebookの社員には粗品が贈呈される。詳しい情報は下記の公式サイトを参照のこと。