回文・過てる滋賀県警

メビウスの福袋(第8話)

大猫

629文字

別に滋賀県警に恨みは何もないのですが、回文書いているうちにできてしまいました。
県警の職員は警察官も事務職員も含めて地方公務員ですが、本部長クラスになると国家公務員なのです。当回文に登場する松野警視正も御多分に漏れず。ありえない失敗をしても部下のせいにして知らぬ顔を決め込んだことでしょう。
いえ、別に滋賀県警には何の恨みもありません。すべては回文が自らの勢いで生み出したものなのです。

気弛む寝込み油断して滋賀県警

磊落な松野警視正

急かすガサ入れ

今期文化遺産書き換わり

夜飯セールス

笑う南浦和スルーせしめる

より若き関西幹部禁固令

探す加勢せし池の妻泣く来々軒

怪我して死んだ由美子眠る滝

 

 

きたるむねこみゆだんしてしがけんけいらいらくなまつのけいしせいせかすがさいれこんきぶんかいさんかきかわりよるめしせーるすわらうみなみうらわするーせしめるよりわかきかんさいかんぶきんこれいさがすかせいせしいけのつまなくらいらいけんけがしてしんだゆみこねむるたき

 

【鑑賞の手引】

滋賀県警ともあろうものが、気が弛み寝込みを油断しているうちに、今期は文化遺産の名義が次々と書き換えられ、夜間に飯まで付いたセールスで売り飛ばされてしまった。磊落な松野警視正はガサ入れを急かすあまり、本当の主犯格がいる南浦和本部をスルーして、若い関西幹部に禁固令が出されたのであった。更に密売に加勢した池という男の妻の行方を捜すも、来々軒に勤めていた由美子(妻の名である)は追跡の途上、怪我をして死んでしまい、来々軒はとばっちりを恐れて泣く泣く滝へ遺体を沈めたのであった。

松野警視正もうかつな人物である。警視正という階級からしておそらくは滋賀県警の本部長であろう。それほどの重職にありながら、黒幕が南浦和にいることを見抜けず、下っ端の若い関西幹部を拘束した上、密売の手伝いをしただけの池という男の妻を死なせてしまった。滝に沈められた由美子の無念はいかばかりか。

2018年11月3日公開

作品集『メビウスの福袋』第8話 (全12話)

© 2018 大猫

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