映画雑誌『neoneo』が主催する映画評論大賞2017の結果が、先月28日に発売された同誌10号の誌面にて発表された。大賞に輝いたのは藤城孝輔「『罪の手ざわり』と触感のない動物たち」。そして青山芽生「『エクス・マキナ』が描いた女性AIの性とジェンダー」が佳作、村山雄紀「ロベール・ブレッソン作品における「懸隔」について」が奨励賞をそれぞれ受賞した。中国映画『罪の手ざわり』(ジャ・ジャンクー監督、2013年)における動物表象をめぐって卓論を展開した大賞受賞作は結果発表と同じく『neoneo』10号に掲載されている。

『neoneo』は映画プロデューサーの伏屋博雄が編集長、映像作家・批評家の金子遊が編集委員を務める日本国内で唯一のドキュメンタリー映画専門誌である。同誌の映画評論大賞はドキュメンタリーに限らず劇映画や作家論、映画史についての考察など映画全般に関する評論を幅広く審査の対象としており、第3回目の開催となる今回は57編の応募があった。応募原稿の規定字数が400字詰原稿用紙10枚以上20枚以内と比較的短いため、長い文章を書き慣れていない人でも気軽に応募できる。今回からは郵送に加えて電子メールでの応募も受け付けており、さらに応募しやすくなった。

今回大賞を受賞した藤城孝輔(ふじき・こうすけ)は沖縄県出身の映画研究者。2011年に日本映画学会賞を受賞しているほか、2017年にキングズ・カレッジ・ロンドンの博士課程を修了して映画学博士号を取得。現在は沖縄映画研究会の運営委員長を務め、同県にて研究発表会や映画上映会の開催に携わっているもよう。破滅派同人に同名の者がいるが、目下のところ関連は不明だ。

 

画像 『neoneo』編集室Facebookページより