2017年9月19日、世界的建築家である安藤忠雄が大阪市役所で会見し、自身の設計・建築による児童図書館を大阪市に寄贈すると発表した。名称は「こども本の森 中之島」(仮称)で、2019年の夏休みまでの完成を目指す。また会見にはiPS細胞の研究で知られるノーベル賞学者・山中伸弥も同席し、名誉館長の座に就くことも発表されている。

児童図書館設立の計画は、安藤からの申し出によるものだという。市側はこの打診を受けてすでに用地を確保しており、建設費も民間からの寄付で目処が立っているとのことだ。「大阪の将来を担う子供たちの学びを支える場所にしたい」「本を読んで誇りある子供を育てたい」と語る安藤は大阪市の出身であり、故郷への恩返しを果たす格好といえるだろう。

建設予定地は大阪都心部のオアシスとして知られる中之島公園内で、市立東洋陶磁美術館の東隣となる。構想によると図書館の延べ床面積は約1,000m2。3階建ての施設内に世界中の絵本や児童文学書を取り揃えるとのことだ。また、一般家庭からの本の寄付も受け付ける。

吉村洋文市長は 「大阪にとって大きな財産となる。子供たちが未来を感じ取れる場所にしていきたい」と謝意を表明したが、その言葉どおり、新しい児童図書館は大阪市の未来のシンボルとなるかもしれない。2年後の完成をゆっくり待ちたい。

なお、東京の国立新美術館では9月27日より「安藤忠雄展 ―挑戦―」も開催される予定なので、建築ファンはそちらもぜひチェックしよう。