日本における自然主義文学の先駆けとなた二人の作家、田山花袋(1872/1/22~1930/5/13)と国木田独歩(1971/8/30~1908/6/23)の関係に迫る特別展が、田山花袋の出身地である群馬県館林市の田山花袋記念文学館で開催中である。

 

『少女病』、『蒲団』、『田舎教師』などの作品で知られる田山花袋は、群馬県館林市が生み出した偉大な文豪である。記念館には復元された書斎、自筆原稿、愛用品等の貴重な資料が展示されている他、ほど近い場所に花袋が幼少期を過ごした「田山花袋旧居」も移築されており、田山花袋ファンならば是非とも訪れるべき場所と言える。

 

そして『武蔵野』等の作品以外にも日本文学史における数多くの貢献でその名を残す国木田独歩は、田山花袋と同学年であり、お互いに尊敬の念を抱く親友であった。詩集『抒情詩』を共同で編集し刊行した他、日光での共同生活も広く知られる所である。さらに独歩はその臨終の際に「花袋は余の親友なり」という言葉を残して先立ち、葬儀では花袋が弔辞を述べた。その後も花袋は独歩との関係を度々作品の中に書き残している。同展のタイトル「KとT」も田山花袋が残した作品名である。

 

同展では二人が交わした書簡、独歩が書いたラブレターなども展示されるとの事で、既に「花独」や「独花」という言葉を使いこなしている知識層にも興味深い展示となるであろう。