新宿は夏目漱石(1867年2月9日~1916年12月9日の生まれ育った地であり、亡くなるまでの最後の9年間を過ごした「漱石山房」があった地でもある。そんな縁の深い新宿の「漱石山房」跡地に「新宿区立漱石山房記念館」が開館する。

 

「木曜会」が開かれていたことでも知られている終の棲家「漱石山房」を再現して展示する他、絶筆となった『明暗』の草稿(落書きあり)、木曜会メンバーの画家・津田青楓による画賛「漱石先生像」、漱石作品の初版本などが展示される。開館は9月24日を予定しており、開館に伴ったイベントも開催されるとのことなので、詳しくはホームページをご覧あれ。図書館やグッズショップも併設されるようで、流石は日本を代表する文豪の記念館。開館した暁には是非とも足を運んでみたいと思う。楽しみだ。

 

去年お伝えしたロンドンの漱石記念館閉館に伴う資料は、この新しい記念館が引き取るのだろうかと思っていたが、問い合わせ多数により、来年の春にもロンドンの郊外に場所を移して再開する予定であるというニュースも舞い込んできた。身近に見ることが出来ず残念ではあるが、貴重な資料の行方がはっきりとしただけでも良しと言えよう。

 

上記の通り、去年から今年にかけては文豪・夏目漱石のメモリアルイヤーである。日本中で数多くのイベントが開催されており、漱石ファンは大忙しなのではないか。関連書籍も多数出版されているようだ。僕も去年のドラマから引き続いて、これを良い機会と不勉強ながら未読であった三部作を読み進めている途中である。日本で最も有名な文豪であるのは間違いないが、改めて作品に触れ、人となりを調べると、その実は全然知らなかった事を発見する。お堅いイメージはそのままだが案外浪漫派であり、そしてなんだかそのことで武者小路実篤に絡まれているぞ、と。漱石に詳しい貴方はどのように読んだのだろうか。

 

今は正に日本を代表する国民的作家・夏目漱石について改めて触れる良い機会だ。実は『こころ』と『坊ちゃん』くらいしか読んでいない人も多いのでは? その『こころ』も教科書から消えるかもしれないとかなんとか。お札からも教科書からも姿を消してしまって良いのかという国民的議論に、貴方もぜひご参加を。