今月は4誌が発売。

新潮 2017年9月号

  • 創作の目玉は中長篇2本。町田康「湖畔の愛」(200枚)は大学の演劇研究会の話で、橋本治「草薙の剣 ―昭和篇」(350枚)は6世代にわたる昭和平成史。
  • 黒田夏子は掌編3作を一挙掲載。
  • ほか創作に柴崎友香、円城塔。
  • 連載陣では、天童荒太「ペインレス」が今号で完結。
  • 島田雅彦×宮内悠介の対談「終末世界のその先へ」では、原発や伝染病、そしてシンギュラリティについて語られる。
  • エセーに亀山郁夫、山中千尋、倉本知明、木ノ下裕一、梅津庸一。

文學界 2017年9月号

  • 芥川賞を受賞したばかりの沼田真佑の受賞第一作「廃屋の眺め」が早くも登場。
  • 筒井康隆は2年ぶりの新作「漸然山脈」を寄せている。
  • 昨年オール讀物で小説家デビューを果たした壇蜜による80枚の短篇も。異業種の著名人による小説というと少し前は新潮の得意技だったが、最近は文學界でも目立つ。
  • 梯久美子は遠藤周作と原民喜が交わした往復書簡を題材にしたノンフィクションを掲載。
  • エセーに西村賢太、田辺青蛙、古川真人、北村早樹子。
  • 評論では、安藤礼二が西田幾多郎について書いている。

群像 2017年9月号

  • 創作は3本。木村紅美と三輪太郎が中篇を、佐藤洋二郎が短篇を寄せている。
  • 連載陣では、多和田葉子「地球にちりばめられて」と橋本治「九十九歳になった私」が今号で最終回を迎えた。
  • 青木純一は、戯曲から三島由紀夫の人生と文学を読み解く評論を。長篇評論となっており、今号では前篇が掲載されている。
  • リレーエッセイ「私と大江健三郎」は、筒井康隆が今月の担当。
  • 通常のエッセイに荒井裕樹、田中未来、植本一子、柳本光晴。

すばる 2017年9月号

  • 椎名誠「ニワトリの三つのタマゴ」は自身の少年時代をモチーフとした「家族のあしあと」シリーズの最新作。
  • 青木淳悟はイガワ・スグレやホラ・タツノ、カキフ・マサカリといった人物が登場する「プロ野Qさつじん事件」を。
  • ほか創作に佐川光晴と温又柔(掌編)。
  • エセーに沼田真佑(特別寄稿)、保苅瑞穂、李琴峰。
  • 連載陣では、野崎歓の「井伏鱒二論」が今号で最終回。
  • 特集はなんとも夏らしく『海と山と文学と』。朝吹真理子×栗原康の対談や、吉本ばなな、松家仁之、坂本大三郎のエセー、梯久美子のルポ、原成吉のレポート、大澤信亮による評論などから構成されている。寺尾紗穂とシャマン・ラポガンへのインタビューもあり。

以上、2017年8月発売の4誌について概観をお伝えした。