2017年4月20日(木)、講談社は第60回群像新人文学賞の選考結果を発表した。当選作は1999年以来の該当作なしという結果だった。優秀作には、上原智美氏「天袋」および李琴峰氏「独舞」の2作が選ばれている。各作品の全文と選評は5月発売の『群像』6月号に掲載される。

1958年に創設された群像新人文学賞は、純文学系の五大新人賞のなかでもとりわけ個性的で息の長い作家を発掘することに長けた賞だ。村上龍、村上春樹、多和田葉子、阿部和重、諏訪哲史など、過去の受賞者を見てもユニークな名前が多い。昨年の受賞者だった崔実もいきなり芥川賞候補になるなど大きな話題を呼び、今回の選考結果にも注目が集まったが、結果はまさかの該当作なしだった。

しかし群像新人文学賞では、優秀作から飛躍した作家も多い。優秀作は毎回必ず選ばれるものではないので、むしろそれだけ伸びしろに期待されているということでもあるのだろう。島本理生や村田沙耶香はその代表格といえる。今回優秀作を受賞した2氏の今後にも期待したい。