ドイツの著名な児童文学・挿絵作家でありこれまでも多くの賞を得てきたヴォルフ・エァルブルッフ(Wolf Erlbruch,1948~)が、2017年アストリッド・リンドグレーン記念文学賞(Astrid Lindgren Memorial Award laureate,ALMA)を受賞した。今回、ヴォルフが選ばれた理由として関係者は、ヒューマニズムに根ざした暖かさやユーモア、新しい表現の開拓などをあげている。

アストリッド・リンドグレーン記念文学賞とは、「長くつ下のピッピ」「名探偵カッレくん」などの児童文学で知られるスウェーデン人児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(1907~2002)を記念し、スウェーデン政府により2002年に設けられた児童文学・絵本向け文学賞である。2005年には日本人絵本作家の荒井良二がフィリップ・プルマンと同時に受賞している。賞金は500万スウェーデンクローナである。

ヴォルフは多彩な表現技術の持ち主であり、これまで水彩や鉛筆始め、チョークやコラージュなども含め、様々な表現を行ってきた。また、その哲学的な作風も子どもから大人まで魅了してやまない。ヴォルフの児童文学や挿絵を担当した本は日本でも刊行されており、児童文学「死神さんとアヒルさん」や、ヴェルナー・ホルツハルト作「うんちしたのはだれよ!」の挿絵担当などで有名である。これからもヴォルフ・エァルブルッフの活躍に期待したい。