神奈川県横須賀市出身の児童文学作家である佐藤さとる(1928年2月13日 – )の著作と、その表紙絵や挿絵を描いた岡本順(1962年、愛知県生)の原画を集めた展示会が開催中。2013年3月にオープンした横須賀初で唯一の絵本専門店、 絵本を見ながらお茶の飲める絵本屋「うみべのえほんや ツバメ号」で開かれている。

 

佐藤さとるは1959年に出版した 『だれも知らない小さな国』以降、累計300万部を超す「コロボックル物語」シリーズなどの作品で知らており、日本初のファンタジー小説作家と謳われている。同作品は「冒険コロボックル」としてアニメ化もされており、2014年には佐藤さとるから直接バトンを渡された有川浩によって27年ぶりの新刊『コロボックル絵物語』が刊行されている。

 

コロボックルは、アイヌの伝承に登場する小人のことで、アイヌ語では「フキの葉の下の人」という意味である。コロボックルのイメージを築いたと言われる「コロボックル物語」シリーズは、日本版の妖精物語と言って良いだろう。しかし、実は話の舞台は佐藤さとるが10歳まで過ごした横須賀なのだ。両親が北海道出身で、幼少期からコロボックルの話を聞いて育ったということである。

 

日本では妖怪の出てくる物語は多いものの、妖精と言ったらコロボックルぐらいしか思いつかない。西洋ではアーサー王伝説、シェイクスピア、ピーターパンなど完全に文化に根付いているというのに。しかも、コロボックルはフェアリー、ピクシー、エルフ、スプライトといった妖精のイメージとはかなり毛色が異なる。これは歴史的文化的民族的背景の違いによるものなのか。

 

否、西洋には実際に妖精が存在しているのだ。あなたも聞いたことがあるだろう「コティングリー妖精事件」。コナン・ドイルが紹介したことで大きくなったこの騒動も、事件から50年後に当事者であるフランシス・グリフィスとエルシー・ライトによって偽造であったことが告白された。しかし、二人は死ぬまで「最後の一枚だけは本物」、「妖精を見ていたことは事実」と訴え続けた。現在、妖精が写った5枚の写真ガラス原板は、日本における妖精学の第一人者、井村君江が名誉館長を務める宇都宮市の「うつのみや妖精ミュージアム」に展示されている。真実はあなたの目で確認しよう。