言うまでも無いことだが、『クマのプーさん(Winnie-the-Pooh)』は1926年10月14日、英国の児童文学作家、A.A.ミルンが発表し、挿絵をE.H.シェパードが手がけた児童小説であるその発表から90年、原作者一族が正式に認めた公式続編『クマのプー 世界一のクマのお話(訳・森絵都)』が、KADOKAWAより発売された。

100エーカーの森を舞台に、4人の児童文学作家によって新たな生命を吹き込まれた世界一有名なクマが、秋冬春夏と季節を巡る4つの物語を繰り広げる。おなじみのキャラクター達はもちろん、冬の章にはなんと新キャラクターのペンギンが登場する。E.H.シェパードの画風を踏襲した、マーク・バージェスによる130点以上の描き下ろしカラーイラストも作品を彩り、画集としても楽しめる出来になっている。

さて、作品の出来はもちろんだが、このニュースで最も気になるのは、やはりディズニーとの関係であろう。「クマのプーさん」は世界で最も稼ぐキャラクターである一方、原作者一族と度々訴訟を起こしている。

また、原作者のA.A.ミルンが1956年1月31日に亡くなっているので、「クマのプーさん」は計算上、来年の5月には著作権が切れてパブリックドメイン化される予定…なのだが、その前にTPP協定が発行されれば、それが20年延長されるという微妙な状況であるとか。

ディズニーはミッキーマウスの著作権を無理やり延長した経緯があるので、このタイミングでわざわざ「原作者一族公認」などという旗印を掲げた新作が発表されるのは、何か裏の意図があるような気がする。そしてなぜ、「さん」付けしないのか。

さらには原作者A.A.ミルンの伝記的実写映画(原題「Goodbye Christopher Robin」)も現在撮影中とのこと。「クマのプーさん」は、クリストファー・ロビンのモデルとなった息子が、ぬいぐるみと遊ぶ姿から着想を得ており、その世界的ヒットに飲み込まれる家庭の姿を映画化するんだとか。これもまたディズニー製作ではないあたり、とても興味深い。来年は世界一有名なクマが、嵐を巻き起こすことになりそうだ。