クリスマスの死

天覧混血(第3話)

Juan.B

小説

5,311文字

※破滅派オリジナル作品。
※クリスマス特別小説。
※混血×クリスマス×商業主義×子供×ガミガミ親×弱者×クソ。

控室で、私は親方にせかされつつ赤装束を着込んだ。

「良いか、お前はニコニコして突っ立ってりゃ良いんだ」

「はい」

私は赤装束を身に付け、白い付け髭を顔に貼り、そして大きな袋を持って鏡の前に立った。

「お前は白人だからサンタの雰囲気が良く出る」

「ハハハ」

「黒人だったら、なんだ?ブラックサンタか?」

「……」

「まあ、良いや、よし、行って来い、近付くガキにちゃんと菓子をやるんだぞ」

親方が私の背中をぐいと押し、通用口からフロアに出した。

 

『本日もユニオンモールをご利用頂きありがとうございます……ただいまの時間より……グリーンランドから来たサンタさんと、お子様の、仲良し撮影会を開催いたします……』

私はフロア中央の、一段高く作られた撮影台に据えられた大きな椅子に座った。大きな袋を横に置く。放送を聞き付け、早速家族連れどもが大勢集まってきた。

「ほら、サンタさんだよー」

「良かったねー、写真とってもらおうねー」

「はい、はい、こちらからお並び下さい」

私は無言でニコニコしながら首をぶんぶん立てに振る。横の店員が誘導を始めた。

「はい、じゃあそこの女の子から、どうぞ」

その女の子と言うのも、10歳を超えてディズニープリンセスの顔がデカく編まれたセーターを来ている、太った女児だった。

「ふひひ、ひい、サンタさぁん、いひ」

精子せいこー!良いぞ!良いぞー!」

「あの、お客様、まずお写真は一枚こちらでお撮りしますので、その後で」

「あ、すんません」

私の膝の上に座ったセイコと言う女児は見た目通り重かった。しかしその両親らしき人物もかなり太っている。私も見かけ上太っている。

「いひ、いひひ、サンタさぁん」

「……」

「さーセイコちゃん、サンタさんに、ほら、そっとサンタさんの耳にお願いしてみましょう」

店員が促すと、セイコは厚ぼったい顔を近付けて来た。

「あ、あの、あのね……私ねえ、シルバニアファミリーの『明りが灯る大きなラブホテル』が欲しいのォ」

最近やたらCMで流している擬人化ウサギのおもちゃだ。別に私がここでそれを渡すのではないが、設定上私は無言でグングン頷いた。そして頭を撫でてやりながら、一緒に写真を撮った。店員の持つポラロイドカメラからジーッと写真が出てくる。写真を一瞬見ると、セイコの事はどうでも良いが、私のサンタ姿は中々サマになっていた。

「ホラッ、精子!今度はお父さんが写真を撮るからな!」

「お客様、なるべくお早めに……」

「分かってる」

父親らしき人物は、ゴテゴテしたカメラで素直に一枚だけ写真を撮った。セイコは降りて、私から小さな菓子詰を貰うと、ニタニタ笑いながら出て行った。

 

「さあ次はそこの男の子」

季節外れの半袖で野球帽を被った、頭の悪そうな少年だ。

「さあ、サンタさんに耳元でお願いをしてみましょう」

しかしこのガキは耳元でと言っているにもかかわらず、私の顔の近くで大声を出した。

2016年12月25日公開

作品集『天覧混血』第3話 (全5話)

天覧混血

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© 2016 Juan.B

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