全世界で200万部を売り上げ、アカデミー賞女優ナタリー・ポートマンも惚れ込んだという、セス・グレアム=スミスによる小説『高慢と偏見とゾンビ』の映画がいよいよ公開となる。

 

サマセット・モームによる『世界の十大小説』にも選ばれ、夏目漱石も「則天去私」の例の一つとして絶賛した、ジェーン・オースティンによる1813年作の『高慢と偏見』。ジェーン・オースティンは2017年から登場するプラスチック素材を使った新10ポンド札に起用されるほど、英国では国民的作家である。

「読書ほど楽しいものはないわ!」(『高慢と偏見』第11章) このセリフのチョイスはどういう意図なのか。英国人お得意の皮肉だろうか。また、一部では肖像画が美化しすぎという声も。

 

その英国が誇る超名作にゾンビを付け足したスピンオフ、それが『高慢と偏見とゾンビ』である。はっきり言って下品な作品だ。話の筋はそのままに、ことあるごとにゾンビが登場。5人姉妹はゾンビと戦う戦士として物語が進んでいく。ただそれだけの話である。読めば読むほどオリジナルの完成度の高さを再確認するばかりで、なぜそこまでヒットしたのか謎だ。

 

だがしかし、見てみたい。200年に1人のヒロインであるエリザベスがゾンビと戦う姿を。リジーとダーシーを。イライザとキャサリン・ド・バーグ夫人を。謎は解けた。要するにみんなエリザベスのことが好きなのだろう。既に公開されている動画、および画像は古き良き時代の英国を見事に再現した美しいものばかりでパーフェクトだ。映像を見るためだけでも、映画館に足を運ぶ価値はあるだろう。願わくば、あんまりグロくないことを。