夏目漱石をその妻・鏡子の視点から描いたテレビドラマ「夏目漱石の妻」が9月24日(土)NHK総合夜9時からスタートする。全4話。夏目漱石役は「シン・ゴジラ」で主演した長谷川博己、漱石の妻・鏡子役を尾野真千子が演じる。

 

夏目漱石(1867年2月9日 – 1916年12月9日)とその妻・鏡子 (1877年7月21日 – 1963年4月18日)は1895年に婚約、翌年結婚。さて、夏目漱石の妻と言えば、悪妻説というものがある。鏡子の父は貴族院書記官長の中根重一で、大変なお嬢様育ちであった。それゆえ鏡子は家事が上手くできず、さらにわがままな生活から育まれた我の強い性格によって、たびたび漱石と衝突してはヒステリー起こし、漱石を神経症に追い込んだ一因とも言われている。一方で夫婦仲は良かったとも言われており、漱石が英国留学後に神経症を悪化させ、家族に対して暴力を振るうようになり、周囲から離婚を勧められた時でも、頑として受け入れなかったという逸話もある。

 

男尊女卑の強い当時の良妻賢母のイメージからすると、悪妻と言われても仕方のない部分もある鏡子ではあるが、現代の視点から見れば、お互いの意見を言い合いながらも仲の良い夫婦と言えるのかもしれない。悪妻のレッテルを貼られた鏡子はこのドラマでそのイメージを払拭できるのだろうか。夏目漱石の作品は『吾輩は猫である』、『こころ』、『坊ちゃん』などいくつも映像化されたが、財布の中から姿を消して久しい夏目漱石が、映像化されてどのような姿を見せるのか楽しみである。