何故死

渡海 小波津

小説

547文字

新聞記事より「世間の心が離れているのを最近感じている」という作業現場の声を受けて

何故死

 

私の父は、ぽっくりと死んだ。享年四八歳だった。

知らされたのは母からの電話だった。授業中、先生に呼ばれ職員室の電話に出ると母が××病院に急いで来るように、疲れたような何か言わなければならないこ とを言えないでいるようなふうでそれだけ言った。私は誰か親戚に病気だと聞いていた人がいただろうかと思い巡らせてみたが思い当るところがなかった。それ でも母の様子からするに近しい人の身に何かあったのだろうと感じはしたものの、それがまさか自分の父親だとは病室に入るまで想像だにできなかったのだ。

「行ってきます」

その日もいつも通り家を出た。父もいつも通りリビングで新聞を読んで見るでなく行ってらっしゃい、と送り出してくれたはずだった。

何かあったとすればその後だろうか。父が仕事に出るのは八時だったはずだから、私が家を出てから四〇分の間に父は病院に運ばれたことになる。

私は病室に入ってから、ただそんなことを考えていた。だって理由がないのだ。昨日も、一昨日も、一昨昨日も、……いつも通りだった。

ただ数年前、父は厭な水を浴びたと言っていた。ただそれだけなのだ。それだけなのに――。

 

 

 

―― It’s preposterous. What’s ? or Who’s ? or……Both?

2013年10月22日公開

© 2013 渡海 小波津

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