大國魂神社

大川縁

514文字

府中市にある大國魂神社で参拝した際に、偶然居合わせた流鏑馬のことを思い出しながら書いた詩です。桃の市の名は「小金井百一話/星野進一著」を参考にしました。

国分寺街道のハケの南側を終点まで行き、

そこから府中市にある馬場大門のケヤキ並木が始まる。

大國魂神社の参道でもあるケヤキ並木では市が開かれ、

人の往来が途絶えることなく、賑わいをみせていた。

 

この辺りの昔話でもみる桃の市は、

現在でも「すもも祭」として続いていて、

夏の風物詩として楽しまれているようだ。

その起源は古く、前九年の役まで遡る。

源頼義と義家父子が、奥州平定のため朝廷から派遣され、

途中の大國魂神社で戦勝祈願をした。

戦に勝った帰途、戦勝御礼詣りをし、祭が起こった。

その際に供えられた神饌の一つにすももがあったため、

すもも市がたつようになったという。

祭のある七月が待ち遠しくある。

 

稲荷神社を横目に大鳥居をくぐると、

参道で流鏑馬が行われていた。

駆ける馬の艶やかな毛並みに集まった人は魅了されている。

私は東京競馬場へ行く前に神頼みをしようと

たまたま立ち寄っただけだったのだが、

目前を馬が駆け抜けていく姿と、

その蹄の音には圧倒されるものがあった。

 

拝殿で参拝を済ませ、意気揚々と再び大鳥居をくぐる。

樹齢六百年の大欅が、参道を行き交う人の頭上から

その一日を見守るように静かにそびえ立っていた。

 

2016年10月18日公開

© 2016 大川縁

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