1997年にノーベル文学賞を受賞したイタリアの劇作家ダリオ・フォさんが、今月13日にミラノで死去した。90歳だった。

ダリオ・フォさんは1926年にイタリアのロンバルディア州で生まれた。第二次世界大戦中はイタリアのファシスト政権に対するレジスタンスに参加しており、サロ政権(復権したムッソリーニを首班としたナチス傀儡政権)に捕らえられた事もある。俳優として1951年から、作家としては1953年から活動を開始した。その作風は反骨的、反権力的であり、教会や政権を風刺する作品も多く、その為に興行拒否始め妨害や脅迫を受けた事もあった。1960年に喜劇「Gli arcangeli non giocano a flipper」天使はピンボールをしないがヒットしてからは海外においても広く活動するようになる。1980年代からは日本でもダリオ・フォの政治劇を上演するようになった。

その反骨精神のために、ベトナム戦争に反対の意思を表明しアメリカから入国を拒否され、プラハの春を支持した為に共産圏において興行が拒否されるなど世界的にも複雑な扱いを受け続けたが、怯むことなく活動を続けた。そして1997年、長年に渡り政治色の強い風刺喜劇製作を評価されノーベル文学賞を受賞した。以後も活動を続けていたが、奇しくも2016年10月13日、ノーベル文学賞が発表されるその日に死去した。