口を噤み、瞼を深く閉じる。
枝葉はカサカサと音を立て、月見草の輝きが瞼の裏に浮かび上がる。
月は真円を描き、その引力で人を狂わせる。
私は立ち竦み、その場から動けずにいた。
月の下で、楓の並びはどこまでも伸び、月見草が至る所に生い茂る。
油断すれば血を流す、いつしか足元は石実皮の茨が這う。
恐れるだけで、何もできなくなる。
振り返れば、見たくないものばかり、石実皮の茨に絡みついている。
それらは私が穢したもの。
2015年11月8日公開 2015-11-08T22:52:05+09:00 2016-06-23T20:19:21+09:00
作品集『昏睡状態』第4話 （全17話）
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大川縁 破滅派 投稿者
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