「闘牛」「氷壁」などの作品で知られ、また国内外を問わず様々な歴史を題材にした作品も書き、一時はノーベル文学賞候補に挙げられていたとも言われる小説家、故・井上靖(1907~1991)。

死後、井上の業績を記念し、1993年から井上靖記念文化財団(在神奈川県横浜市)により井上靖文化賞が開催されてきた。しかし運営に当たってきた遺族の高齢化などの事情により、2007年度の第十五回を最後に、一区切りを付けると言う形で賞は途絶していた。

今年に入り、井上靖の出身地である北海道旭川市が井上靖記念文化財団に接触し、井上靖文化賞の再開に向け協議を行ってきた。そして6月20日に、旭川市と財団は協力して事業を行う協定を結ぶに至った。以前とは形を変え、井上靖の生誕110周年を迎える来年に合わせて第一回の贈呈式を目指すという。再び活発な活動が行われるようになるのを期待したい。