無創の英雄

児島啓祐

小説

14,462文字

戦国の動乱も終焉を迎え、戦場を失った武功派たちの存在は、もはや前時代の遺物に過ぎなかった。生涯五十七の戦場を駆け巡り、かすり傷ひとつ負うことのなかった無創の英雄『本多忠勝』も、背骨の曲がった老翁として、虚しい隠居生活を送り続けている。

背骨の曲がった老翁、庭に臨んだ縁側に座り込む。日照の影から枯山水の庭を眺めていると、秋のおだやかな陽光に包まれて、つい鼾が漏れる。はっと気づいて辺りを見回せば、いつのまにか夕闇の中。昼寝をしていても、起こしてくれるやつもいないのかと、笑うように独り、咳をする。

冷たい夜は、老身に応える。創一つない肉体にも、よく染みた。ここのところ、食欲もない。げっそりと、肉も落ちた。性欲も、諦めたら消えた。それでも皮と骨の間に横たわる、何か意地のようなものが、老翁を奮い立たせようとする。何か大切なことを忘れている、という気にさせる。それでも、想い出せないのだ。自分は何のために生まれてきたのか。自分がこの六十二年間に為してきたことにどんな意味や目的があったのか。どうしても、失われた実感を取り戻したくて、老翁は自らの生き様を一番よく知っている愛槍に語りかけてみようと思った。

老翁はねっとりと立ち上がり、自分の枕元のすぐ近く、掛け軸の壇上にうやうやしく置かれた『蜻蛉切り』を手に取ろうと、そちらに向かって這いずりだした。畳すれすれに顔を近づけながら、一歩また一歩と白い足袋をゆっくり滑らせていく。姿勢が低く、動作があまりにのろいため、干からびて地面に張りついた蜥蜴の死体のようにも見えるが、老翁は立派に歩いている。

一丈三尺(四m超)もあった天下一の名槍も、今では元の三分の一の長さに切られていた。老翁の体力の低下に伴って、その愛着あふれる相棒も身の丈を縮めてきた。それがやっと手に触れて、力を入れようと思ったとき、もはや持ち上げる力も残されていないのだと、老翁は気づいてしまう。だがその瞬間、老翁の内側に火が、ついた。正体不明の衝動が、限界的堤防を決壊し、俺はまだ終わっていない、という一念発起。老翁はもう一度男の中の男に、返り咲こうとしたのだ。眉毛を白い炎のように逆立たせ、眉間に武人としての誇りを深く刻みながら、両腕の血管が破裂せんばかりの勢いで、全身を奮わせた。うぐっ、という腹の底からの叫びが聞こえると『蜻蛉切り』が、浮いた。一寸ばかり、持ち上がった。我慢の汗が、ここのところ霧がかかったように濁りだした老翁の瞳に染み込んで、小さな痛みがあった。それでも老翁は頬皺をわずかばかり動かして、俺はやはり俺であった、そう心の中で念じつつ、笑ってさえ見せたのである。

だがそれも一瞬のこと。足元がとろけたように失われて、こけた。音もなく、肉のない尻から落下して、愛槍が顔面の辺りに降ってきた。間一髪、いなすことはできたが、あまりの情けなさに、赤面した。

「おや、まあ、中務大輔様ともあろうお方が。また短くいたしますか」

皮肉めいた女の声が襖越しに聞こえた。三十を過ぎた辺りの、痩せぎすな女郎が一人、座敷に入ってきた。女郎は密やかに笑いながら、『蜻蛉切り』の柄の部分をぎりぎりと短刀で削り、やがて老翁の脆弱な手のひらに、すっぽり収まってしまうほどの大きさにまでちょん切って、嫌味っぽく手渡した。老翁の震えが全身に広がった。共に歩んできた厳かな道のり、これぞ我が宿命と信ずるままに、遮二無二突き進んできた戦友が傷つけられてしまったのだ。『蜻蛉切り』はその名のとおり、羽を休めようとした蜻蛉が降り立った瞬間、真っ二つに割れてしまったという逸話を残すほどの、伝説的な切れ味を持つ名槍である。それがなんとも残酷な姿になってしまった。柄を切られてしまっても、刃渡りは一尺以上も残されているため、どうにも頭でっかちな短刀に成り下がってしまったのだ。刃先がずいぶん冷たいと、老翁は感じた。あふれる想いを言葉にすることができず、どうにもやり切れなかった。しゃがれた濁音の羅列を発しても、その言葉は誰にも届かない。女郎は紅く濡れた唇を隠すように片手をかざして、ずっと老翁を見つめたまま、肩を小刻みに震わせていた。

「まったく、いい気味です」

女郎の理由なき制裁は、もう一年も続いていた。少なくとも老翁にとっては、なぜ自分が苛められなくてはならないのか、見当もつかなかった。いつまで自分は責められ続けるのか。どうして自分はこのような境遇に落ち込んでしまったのか。歯軋りしようにも、今となっては軋む歯もない。罵詈雑言の大音声を轟かせようにも、踏み潰された蛙のごとき瀕死のだみ声が、やっとのこと。惨めな隠居生活にも疲れ果て、さっさとぼけてしまいたいとさえ、最近は思うようになった。

「本当はこんな棒切れではなくて、あなた様の醜悪な異形をちょん切りたいんですけどね。もう、それ、真っ直ぐにならないでしょう。その『蜻蛉切り』のようにさぞ弱弱しくなられたことでしょうね。わたくし、残念で仕方ありませんわ。まあ、それは我慢いたします。その代わり、あなた様のきれいなお体に傷が入るのを待つことにしました。わたくしはずっと、中務大輔様が戦場から無創で帰ってくるたびに、悔しくて哀しくて、わざと自分から誘いをかけたものです。あなた様の満足そうなお顔を見るたびに、心の奥底で嘲笑っていましたのよ。もう二十年以上の付き合いでございますから、わたくしから直接手をかけるような、そんな残酷な真似はいたしません。どうぞご自分でお選びになってくださいな」

言葉にはならずとも、老翁の顔面の随所に刻まれた歴史の谷に吸い込まれていく鼻水やら、涙やら、嗚咽やらを見れば、この男の心持は容易に想像できた――この女、俺が何をしたというのだ。俺はお前を助けてやったではないか。焼き討ちに遭っているお前の村で、拾ってやったではないか。今までずっと、目をかけてやっていたではないか。

「ふん、何も守れないくせに! 弱いくせに! いったい何人の人間をそのちんけな槍にかけたんですか。生命を奪って英雄気取りですか。あんたも武士なら早く死になさい。今はもう、あんたがむかし馬鹿にした、腰抜けの時代なんですから」

そう言い放つと、不気味な声でからからと笑った。その間も老翁は畳みの目を見つめながら、涙の雫を、月の光の中にこぼしていた。途端に月光りが失われると、夜の穴がぽっかりと浮かび上がり、そこには嗚咽のみが、落ちた。しばしの沈黙が老翁の盲を深めた。もう、時代の底にまで落ちてしまったのかとさえ、思われた。女郎は暗がりの中、さっさと布団を敷いて出て行くと、後には独り、戦国の、英雄の、成れの果てが、残されていた。

やがて涙も止んでから、老翁は掛け軸に描かれた自分の肖像画を見つめた。この暗闇の中では、黒く塗りつぶされていて、その輪郭すら掴めない。元々この画は絵師に八回も描き直させたこだわりの一品で、この男の往年の甲冑姿が極彩色の精緻な筆致で描かれている。元は了学上人に寄贈されたものだったが「お前さんが持っているのがよろしかろう」という手紙と共に、最近になって送り返されてきた。老翁は釈然としなかった。何度も確認のため書状を送った。それでも、当初と一字一句違えることのない書状が返ってくるばかりで、いよいよ不審の念を強めたが、和尚の強情さについていけず、老翁から、折れた。それでも今となっては和尚の思いやりを嬉しく感じ、感謝もしている。あの頃は良かった、とつい愚痴が漏らせるからだ。あの女郎の言うとおり、この安寧の世となっては、武功派の存在はもはや前時代の遺物に過ぎなかった。もう老翁達は、子ども達の喜ぶ絵巻物の中の、伝説になってしまっていた。

月が暗雲から姿を現すと、掛け軸が青い炎に照らされて、黒い戦装束に身を包んだ豪壮な男の姿が浮かび上がった。勇猛な鹿角脇立兜を被り、右肩から巨大な数珠をかけている。描かれている絵の迫力や臨場感に、嘘偽りはなし。この男、実に、強かったのだ。天下無双の槍使いだった。諸国に知れた剛の者の名乗り声でさえ、この大槍の圧力の前ではびくびくと打ち震え「我は某の国の某であるぞ、いっいざ尋常にしょしょっぶ」と哀れな元剣豪、引きつった両頬に敗北の涙が伝って、その腕前も、幼児の遊びと見紛う、ちゃんばら武士道と成り下がる。腰の抜けた武人にせめてもの情けをと、颯爽と吹き去る一陣の風のごとき槍捌き。鼻毛を抜くほどの痛みすらそこには介在させず、後には、天と地の裂け目を見せるのみである。生涯五十七回の戦で、一度も刀創を負わなかったほどの男なのだ。今でこそ老翁の柔弱な態であるが、戦場に立っていた頃のこの男の顔は、それこそ地獄人の魂を弄ぶ、鬼神のごとき形相であった。岩石を荒々しく彫り上げたような無骨な顔立ちに、決然と澄み切った双眸が、力強い意志の光を放っていた。特筆すべきは、その、豪胆な口髭である。男の生き様そのままに、口元に侍る鷹の影。獰猛さに満ち満ちとして、「いざ天空へ飛翔せん」と、躍動感みなぎる両翼のようであった。

それだけでは、ない。慈悲深い男としての性質が、いつしかこの男の伝説的価値を高めるようになった。自分が殺めてしまった人間のことを想い、弔いの気持ちを込めて、戦場に立つときは必ず数珠を持っていったのだった。無論、この程度のことで許されるとは思っていない。復讐の心は世の常と覚悟し、果し合いには逃げることを潔しとせず堂々と刃を交え、どんな中傷をも風評をも哀れみを持ってそれに甘んじた。自分が負けるということはなかったから、刀を失い、涙ぐみながらも、人を食い殺すような眼で見つめ続ける相手に、または、自分のことを口汚く罵ったとして捕らえられた女子ども相手に、決まって同じ言葉をかけていた。

「すまなかった。だが俺の生命、まだお前たちにくれてやることはできない。だからこそ、約束する。俺は戦乱が収まったとき、喜んでこの血塗られた生命、お前たちに差し出そう。約束だ」

老翁となった今でもその気持ちは真実の重みを失っていない、とこの男は信じていた。あの女郎にも「時代が変わった今となってはこの無骨な生命など不要、いくらでも差し出そう」と言ってやるつもりだった。恨まれる理由はわからなかったが、大方女郎の家族が自分に殺され、いつかは寝首を掻いてやろうと自分に接近してきたのだろう、と想像した――仇討ちに遭うのも悪くはない、多くの殺生を重ねてきた自分にとって相応しい死に方だ――そう思いつつも、どうしても言葉にして伝えることができないのだ。口を必死でもごもごさせても、正体不明の不快感が、ひどく口の中を汚した。怪我をしているわけでもない。それでもなぜだか、自分の言葉が口から出てこないのだ。自分が老いたせいかもしれない、最初はそう思った。だが、本当にそれだけの理由なのだろうかと、ふとそんな気もしたのである。――俺はなぜ、若い頃のように、あの言葉をかけることができなかったのだろうか。誇りも自尊心もずたずたに引き裂かれた。あの女郎を哀れむ余裕も失われた。怒りと情けなさに打ち震えている。だが、たかだかそれだけの理由で、あの真実の言葉をあの女にかけられなかったとでも言うのか。とすると、若い頃の俺は自分に嘘をついていたということになるではないか。いや、そんなはずがない。筋骨精神ともに隆盛を極めていたとき、自分は本心から、あの言葉をかけていたはずだ。嘘はない。絶対に偽りはなかった。だが、おかしい。真実であったならば今、言葉を使わずとも、何らかの方法を用いればあの女に俺の意志を伝えることができたはずではなかったか。あの女の裾を引っ張って、筆談でも何でもやれば良かったではないか。だが、俺はそれをしなかった! さっき俺は老いとはなんと口惜しいものか、と考えたがそれは、自分の弱さを、老いたことを理由に肯定しようとした、俺の、ずるさではないか! 俺の、脆さではないか! なんと、俺は、ちっぽけな男だったのだろうか!

そう思ったとき、老翁は自分が戦場に必ず数珠を持っていった本当の理由を垣間見た気がした。もしかしたら自分は意識の深淵に巣食う罪悪感が怖かったのかもしれない、と老翁は思った。――俺は得体の知れない怪物に飲み込まれはしないかと、いつも采配を揮いながら、自分自身を警戒していたのだろうか。迫り来る敵を『蜻蛉切り』で捌きながら、自身の内側にあるものを捌いていたのだろうか。だが俺は、天下一の名槍『蜻蛉切り』を持ってしても、どれだけ熟達した槍捌きを磨いても、俺自身の何者かを倒すことはできなかった。人を斬れば斬るだけ、敵の猛烈な牙は研ぎ澄まされ、黒く濁って逆襲してきた。突いても薙ぎ払っても、敵にかすり傷一つ負わせることができなかった。恐ろしかったのかもしれない。震えていたのは自分の方だったのかもしれない。無論、斬られることが怖いのではない。心の暗がりに潜む怪しげな強敵に、自分が征服されてしまうのが、何よりも恐ろしかったのだ。そういえば、いつも、思っていた。できることなら斬られてしまいたい、刀傷を千でも万でも負って、こんなに汚れてしまった生命など、さっさと燃やし尽くしてしまえれば良いのだと、心のどこかでは思っていた! だが俺は生き残ったのだ。戦国の動乱を駆け抜けた末に、とうとう、老いた。背骨の曲がった老人となった今でさえ、俺はまだ恐れている。槍を置いた現在でさえ、俺は今さっき、自分の愚かさに飲み込まれかかっていた。自分の卑しさに敗れかかっていた。俺は今も闘っているのだ。俺は一体何と闘い続けているのだろう。いつになったらこの闘いは終わるのだろう。俺は死ぬまでにこの強敵を倒せるのだろうか。本当に夜の闇と闘っているようなものなのに、俺はたった一つの創でも相手に与えることができるのだろうか。

はて、そういえば、と老翁は思った。生涯五十七の戦場に立ったが、自分も創一つ負わなかったことを、想い出したのだった。

――なぜ俺は創を負わなかったのだろうか。『蜻蛉切り』よ、答えてくれないか。

短くなった『蜻蛉切り』を握り締めながら、肖像画の中に描かれている豪壮な槍をもう一度見つめた。「お前も年を取ったのだな」と手のひらを開いて、愛する槍に優しく語りかけながら、自虐的な微笑が、つい、こぼれた。老翁は自分の肖像画をもう一度まじまじと見つめながら、夜が明けるまで、ずっと独り、座り込んでいた。

 

 

朝、金木犀の香りで、目が覚める。障子越しから陽が差し込むと、白い視界に陰影がついた。かすみの中に天井の木目、昔は数えられた。老翁の枕は、湿っぽい。

ふと、かすかな物音。床からぬるりと這い出でて、障子に耳を近づける。秋の乾いた空気をはらんで、さりげなく吹いている風の音。その奥に、なにやら危険な足音。決然に導かれた、物騒な足取り。遠い昔、武人の真紅の血が流れていた頃、それこそ何度も、老翁は同じ音を聞いてきた。殺気の音色であった。だんだん音は濃く、強くなっていく。いざ枕元の『蜻蛉切り』に目をやると、どうにも虚しい。一瞬の目まいに、もはやこれまで、と死期を悟ったとき、障子が開いた。

「本多中務大輔忠勝殿とお見受けする。我が父の仇、今こそ晴らさん」

太陽を背に、老翁の二倍もの背丈を持つ男、黒い壁のごとく立ちはだかる。瞳の奥に冷たい炎、憎しみに塗り込められた時間が、その色合いからうかがえる。無精髭をはやした熊のように大柄な男である。対する老翁といえば、崖っぷちに追い詰められた野兎の態を示すのみ。どう戦うかではなく、どう逃げるかの思考に支配された老翁の脳髄は萎縮し、樹皮のひび割れた切り株のような首筋に、一筋の脂汗が滴った。途端にかすかな金属音。刀の束に大熊の左の親指がかけられ、目にも止まらぬ居合斬り。腰の抜けた老翁、皮一枚の差でかわし、寝起きの白髪が宙に三本ひらひらと、畳の縁に舞い降りる。大熊は空を撃った刀を返し、第二の太刀に備えて、脇を締め垂直の刀を立ててから、すり足で近づいてくる。尻餅の痛みもとうに忘れ去られ、老翁必死の逃亡劇。じりじりと迫り来る大熊に、命乞いの卑屈な表情を見せ、するすると後退していく。正気と狂気の紙一重に立たされ、余裕も誇りも剥ぎ取られ、鼻水も垂れるままに、涙も流れるままに、今はもう、ただの孤独な爺である。

「悲鳴もあげられないのか」と大熊の怒り声。仇討ちに燃える当初の気合はすでにない。失望による濁った脱力と、蔑みによる冷え込んだ怒りに打ちひしがれた大熊の剣の軌道は乱雑を極め、老翁は尻を振って逃げ狂うことができた。振り下ろしの太刀には右へよろけては左へよろけ、水平の太刀のたびに腰が抜け、ずいぶん滑稽な敵討ちの光景であった。次第に、老翁も落ち着きを取り戻し始めた――自分は一体何をやっているのか、さっさと斬られてこの男の望みどおりに死んでやれば良いのではないか、こんなに醜く逃げ惑って自分はまだ生きていたいのであろうか。それにしてもあの女郎はなぜ助けを呼ばないのだ。あいつめ、確信犯に違いない――「ええい! 俺はお前を倒すためだけにこの十年間修練を重ねてきたのだ! それだのにお前はなんと老いたのか! 俺の十年を返せ!」と蝿も止まる大熊の太刀、軽々と避け、枕元に飛びつく老翁――この男、それにしても見かけ倒しだ。獣のように巨大な図体と、いかつい顔面を持っているくせに、この程度の圧力しかないのか。剣の方もただ闇雲に振り回すだけ。なんと弱いのか。十年も何をやっていたというのだ。一から鍛えなおしてやりたいものだ――「俺の親父はお前に殺された! 関が原合戦の折り、本多忠勝の首を獲ると出て行った親父はとうとう帰ってこなかった! 父の代わりに、俺がお前を倒す」と無駄口が終わるか終わらないかのうちに、老翁は槍とは到底呼べなくなってしまった『蜻蛉切り』を手に取った。眈々と好機をうかがう老翁は、老いても虎である――頭もどうやら弱いらしいな。だいたい俺の首を獲ると言っていただけで、実際に俺に殺されたとは限らぬではないか。本当にこいつは十年も何をやっていたのだ。おや、今こそ!――老翁、今を逃して次はないと、大熊の頚動脈を狙って飛びつくも、あと少しのところで巨体には届かず、跳ね返されてしまった。くるくると旋回しながら『蜻蛉切り』は畳に突き刺さった。今度こそ本当に最期だ、と腰も気力も抜けてしまった老翁は観念するほかなかった。

「やっと、追い詰めた」と肩で息をする大熊は、異形の生物の手足をもぎ取った喜びを、育ての乳母に報告する童心の不気味さそのままに、屈託のない笑みを浮かべ、老翁を肖像画の直前まで追い込んだ。さすがの老翁も、自らの死を目の前にして、震えが止まらなくなっていた。冷や汗が尋常の量ではない。冷静さはもはや失われていた。歴戦の勇者であっても、とうの昔に覚悟ができていたとしても、やはり死ぬのは何よりも恐怖だった。この老翁もまた、生きるために生きていた。

「老いぼれのあばずれだとはいえ、お前は俺が父の仇だ。それは変わらん。だが、あまりにもお前が哀れだから、一瞬で片をつけてやる。天下無双の名将に、俺は情けをかけてやるのだ。ありがたく思え!」

大熊のいやらしい名声欲に満ちた笑い声が、屋敷中に轟いたとき、襖が開いて、あの女郎が腕の立つ若武者たちを寄越して、自分は後から座敷に入ってきた。だが、まさにそのときだった。老翁、なにやら温いものを感じたと思うと、黄色い敗北が、寝巻きの奥から染み出でて、同心円状に屈辱の水溜りを作り上げた。若武者は大熊に斬りかかるわけでもなく、大熊は若武者に対して身構えることもなく、ずっと老翁の世紀末を見つめ続けていた。

誰が最初に笑ったのであろうか。やはりあの意地悪な女郎だっただろうか。それとも仇討ちのために腕を磨いてきた大熊だっただろうか。もしくは老翁自身だったかもしれない。生涯初めての失禁を犯した、この男自身であったかもしれない。誰かの笑いが伝染して、座敷にいた人間の不気味な笑いの合唱が成立した。尊厳を失った瞬間の失笑。無為と徒労に打ちひしがれたときの自虐的嘲笑。あまりの醜態に向けられた軽蔑の冷笑。愚かしい笑いが笑いを呼んで、老翁を攻撃した。老翁自身、尿と涙と鼻水と汗の海にまみれながら、笑っていた。自分でもどうして笑っているのかわからなかった。小便もいつのまにか冷たくなっていた。その一部始終をあの肖像画は見つめ続けていた。

「お前を一刀の下に斬ったとしても、何の自慢にもならんことがわかった。俺は無関心を決め込むぞ。お前も家康に過ぎたるものと言わしめた男なら、自分の誇りを見失うな。これがせめてもの哀れみかな、ははは哀れみだ!」

大熊は素直に囚われの身となり、即刻打ち首が決行された。もはやこの世に未練なし、という満足げな首が城下にさらされた。だが実際にさらし者となったのは当の老翁自身だった。始終、城下町では老翁の醜態の噂で持ちきりだった。

――俺はなぜ、生き延びてしまったのだろう。あれほどまでの恥をかいて、これほどまでの屈辱を受けて、なぜ俺は今も生きながらえているのだろうか。あの女郎は、あの大熊は、自分で落とし前をつけろ、と言った。俺は贖罪の代わりに、自分の命を、自ら傷つけなければならないのだろうか。

老翁はあの日以来、ずっと自分の生の理由を求め続けていた。なぜ自分は生まれたのか。自分の志は本当に正しかったのか。毎日のように縁側に座り込んで、考え続けていた。

――そういえば、あの大男に暴れられたせいで、部屋にあるものは刀創だらけの蜂の巣騒ぎ、俺の着ている寝巻きでさえ、あちこちに綻びと切れ目ができたというのに、俺自身がかすり傷一つ負っていないのはどうにも不思議だ。俺は生涯、無創の男なのだろうか。いや、そうではない。断じて違う! 思えば、俺は創だらけになっているではないか。目に見えない創をたくさん負っているではないか。だがこんなに寂しく、苦しんでいても、目に見えない傷だからという理由だけで、人々は平気で笑う。ああ、なんという、世の中だ! 人の痛みもわからぬ世の中にどれほどの価値があろうか! 俺はこんな『平和』を築くために、戦場を奔走してきたというわけか! ふふふ、馬鹿め! 俺の愚か者め! いっそ死んじまったらどうだ! お前の人生はすべて無駄に終わったのだ! お前に何が残されているというのだ、え! 短刀に成り下がった『蜻蛉切り』と、お前の小便を見られた肖像画か! ふん、そんなものが何になる。俺は嫌になった。全部嫌になった。お前の痛みはお前しか知らぬ、誰も知らぬのだ!

 

 

次の日も、独り、秋雨が煙る夜の淵に沈んでいる老翁。ふと、雨が大地に吸い込まれる音を聞いた。そのすぐ上では、木枯らしの青い手のひらが、落葉樹の生命の輝きを奪おうと、黒の世界を徘徊していた。落葉は、別れの涙を侍りつつ、くるくると木の葉時雨の舞いを見せる。その背景で雷雲が怪しげに鳴っている。

老翁はろうそくの光の中で、眉間の影にくっきりと苦渋の色合いを見せながら、その夜も、時の暗がりに這入り込んでいた。自棄と恍惚の不気味な輝きが、うつむいた表情に浮かび上がり、夕暮れ時のような淡く繊細な光に包まれて、ふいに肖像画を見上げた。それから、なぜ了学上人が自分にこの画を送り返してきたのかを考えた。――こんな残虐な仕打ちの結果を、あの和尚は目論んでいたのだろうか。自分の老いぼれた惨めな姿を、ことさら強調し、鮮烈な比較を無理強いさせて、絶望的な自覚を喚起させようとでもいうのだろうか。なんとやり方が下劣極まりないことか! 卑怯の極致である! 愚鈍な生臭坊主め、男の風上にも置けない奴だ。だが、これも坊主一流の説法なのかもしれぬ。俺の業を遠まわしに責め立てているのかもしれぬ。俺は多くの生命を奪った。正義のために奪った。正しいと思うことをやってきた。あの女も懸命に愛したつもりだった。だが、何かを間違えた。そのせいで俺はただの人殺しになってしまった。それも嘘つきの人殺しだ。若い頃の言葉はやはり偽りだった。どうして女郎にあの言葉をかけられなかったか、それは俺が自分自身を騙していたからだ。なぜ大熊相手に尻尾を巻いて逃げ狂ったのか、それは俺が自分自身を騙し切れなかったからだ。なんと、醜いのだろう。笑ってしまうくらいに、脆い。俺には生きる価値がないのかもしれない。死んで喜ぶ人間は周りにいくらでもいる。だが俺が死んで哀しむ者は、誰もいない! 俺自身ですらこんな人生を捨てたところで哀しまないだろう。あの程度の男に哀れみをかけられて、これ以上生きている意味などどこにあるのだ! 俺は、やはり俺であったのか。俺という人間の真実は、こんなに黒い土の中に埋め込まれていたのか。ああ、誰か俺の頭をぼけさせてくれ! すべてを忘れさせてくれ! 俺はとてもとても、死にたくなった!

それから背を向けて座り直すと『蜻蛉斬り』の刃を頚動脈の辺りに置いた。それほどまでに望むのなら――という老翁の卑屈な笑顔は、一瞬間の雷光の中で醜くかげった――望み通り死んでやろうではないか! こんなに惨めな隠居生活はもう真っ平だ。これ以上、生き恥をさらす必要もない。

だが、その瞬間、憎しみも愛情も届かない、無関心の冷たさを感じたのだ。『蜻蛉切り』は夜気を切り裂きながら、暗い闇の底へと滑降した。音が、した。老翁は自分を殺すことはできない、ということを痛烈に自覚したのだった。自分はこれほど恥まみれになった今でさえ、とてもとても生きたいのだ、言葉にできぬくらいに生きたいのだ、だから俺はどうしても生きなければならない。そんな衝動が、理由もなく湧き上がり、老翁の縮れた肝っ玉に宿って、久方ぶりに射精した。ひんやりとした暗がりの中、精液が静かに砕けて、巨きく結晶した。

 

 

 

ついに老翁、六十二歳にして、自分探しの旅に出発する。『蜻蛉切り』を手にとって、自分の若い頃を彫りたいと思った。まずは自分の名前からでも良い。早速、のっぺらな板切れを家臣に都合させて、気高き猛将の名前を、彫り始めたのだった。

『本多平八郎忠勝』。

肖像画を前に、朝から晩まで座り込んで、作業に没頭する。長い刃渡りを自由自在に操り、自分の若い頃を想い出しながら、木屑を器用に取り除けつつ、地道に刻み込んでいく。どうしてか、面白い。熱中しているうちに、自分が若返ってくるように思えて、楽しくなってくる。表が終わると板を裏返して、もう一度同じように名前を刻みつける。両面に刻むと、今度はまた別の板を手にとって、健気に想い出す。自分の生き方を噛み締める。そして、どうして自分はいまだにかすり傷一つ負っていないのか、その答えを探していく。何年ぶりかの充実感と心地の良い疲労が、老翁の青い心に、真っ赤な血潮を焚きつけて、明日もまた俺は名前を彫りたい、そしていつかは職人のような腕前を持って、自らの彫像を作ってみたい、そう思って床に入るようになった。どうして突然、彫刻を選ぼうと思ったのか、老翁自身にも、わからない。

彫刻を始めてから食欲を取り戻し、とうとうおかわりの偉業を達成したある晩のこと、ほっこりとした気持ちで布団を被ると、あの女郎が慎ましやかに戸を開けて、同じ布団に這入ってきたのだ。つややかな月光に透かされた女郎に、いつもの強情さや俗悪なところはなかった。無論、老翁には体を重なり合わせるほどの体力は残されていない。猜疑の中に心配を含ませて、どうしたのか、と訊ねた。

「お慕い申し上げております」

耳を、疑った。女郎の熱っぽい吐息が老翁の耳元に当たった。濡れた唇を動かして、何度も何度も、祈るように願うように、「お慕い申し上げております」と、ただ同じ言葉を繰り返し続けた。老翁は、驚愕を通り越して、奇妙だと思った。どんな皮肉や非難が待っているのか、この後にどう俺をはめるつもりなのか。最初は警戒しながら聞いていたが、どうにも嘘の含みを感じないのだ。それもまた、この女の狙いかもしれぬ、と用心し直しても、それでも老翁は、この女の言葉の中にあるのは、真実の熱情以外の何者でもないと思わずにはいられなかった。――今さら何を言っているのだ。俺のことを散々苛め抜いておいて、一体何が言いたいのだ。

「わたくしは、ずっと、あなた様が好きでございました。それでも、嫌いになりたかった。いつまでも憎んでいたい、そう願いつづけていたのです。我が家族はご存知の通り、村の焼き討ちに遭い、一人残らず殺されました。確かに、あなた様は自分を助けてくれました。十歳の頃から大事に養っていただいて、愛人として生きることになってからも、あなた様はわたくしを邪険に扱ったりなどせず、思いやりと慈愛にあふれた関係を大切にしてくれました。それでも、あなた様は多くの生命を奪った人です。言い換えれば、さまざまな人々の家族に、黒い影を与えつづけた罪深き人でございます。殺さなければ、自分が殺される、そんなご時世だということは承知しております。ですが、わたくしにはどうしても、あなた様の生き方を認めることはできなかったのです。ずっと蔑もうと、できる限りの罵詈雑言を思い浮かべ、なんとかして憎んで、忌まわしい存在だと思い込もうと、努めて参りました。けれど、できなかった」

最後の言葉が、赤っぽい素直の中に、ほろりと解けた。老翁は疑っていた自分を、ここ数年の女郎の心持を理解することができなかった自分の矮小さを、恥じた。だがこの数日間、彫刻に向かい続けて得た結論を、もしこの女に伝えれば、簡単にそのような愛情など冷めてしまうのではないか、そうも思ったが、強い心を持って、告白したのだ。

「俺は、生きたいんだ。あれから、ものすごく生きたくなった。本当の、正直を、言おう。俺は死ぬのが怖い! とんでもなく、恐ろしい。俺はそれで、小便を垂らし、涙や鼻水をぐだぐだに撒き散らした。自棄になって自害しようとした、だがそれも失敗した。多くの恥で自分をべたべたに塗り重ねたおかげで、俺は自分自身の生きたいという気持ちに気づけたのかもしれぬ。こんなことを言っていると、本多忠勝の名を汚すことになるかもしれない。後の世の人間は、もしあの豪傑がこんな弱気な言葉を吐いたと知ったなら、心底失望するかもしれない。だが、俺は七十まで。いや八十まで。そんな小さいことはやめよう、できれば、百二十まで、そう百二十歳までだ! 今までの誰よりも長生きしたいと思ってる。こんな俺を、お前は笑うか? お前はそれでも、こんな俺が好きか?」

女は優しく、うなずいた。「そんな、あなた様だから、嫌いになれなかった。あなたは戦場にてたったの一度も創を負わなかったと、世間では持てはやされていましたが、本当は、誰よりも創だらけのお人です。あなたはとっても格好の悪い、無創の英雄です。ですから間違いなく、たくさん笑われることでございましょう。本多忠勝も老いには勝てなかったと、大いに馬鹿にされることでございましょう。それでも、いつの世も、生きることは恥を重ねることです。正直を貫くことは、ずいぶん滑稽なものです。仕方ありません。あなたが生きたいと思ったのなら、もうどうしようもないことなのです。どうか、百二十まで、生きてください。生きて多くの罰を受けてください。あなたは人殺しの本多忠勝。長生きをしたいと思う愚かな本多忠勝。そして、わたくしがお慕い申し上げている、本多忠勝でございます。最期まで闘いつづけてください。自分の過去にぶつかって、苦しみながら、もがきながら死んでください。そのために、生きなさい」女の言葉は、黄昏の寂寥を引きずって、忠勝の心に響いていた。忠勝は、この女が好きになった。だからこそ、生きたい、と思った。

「若い頃は、なぜ自分が刀創を一つも負わないのかということを、考えたことがなかった。思えば実に不思議なことだ。五十七の合戦も駆け回って、かすり傷一つ負わなかったというのは、本当に運が良いとしか言いようがない。ならば、なぜ俺はそんな幸いとも不幸とも言えぬ運命を辿ったのか。俺は自分の名前を彫りつけながら、たくさん、考えた。最初は、このように考えていた。

『俺が今まで創一つ負わなかったのは、自分の強さを誇らねばならぬからだ。自分は誰よりも強く生き続けるということが、かつて俺自身が葬ってしまった敵へのせめてもの償いになるのだ。だからこそ、俺は誰からも創一つ負うことは許されない。かつての強者も俺に創を残せなかったのだ。これからも決して創を負ってはならない』

だが、これは、傲慢だ、と思う。汚い、逃げである、と思う。俺は実際、誰よりも弱い男だ。精神も肉体も、もはや老いてしまって誰にも勝てないだろう。それでも俺は、忠勝の『しるし』を守るために、無創なのだということには違いない。自分が『本多平八郎忠勝』だと示し続けるために、死ぬまでは、肉体にかすり傷一つ負うことはないというのは確かだ。しかしなぜ、俺は『本多平八郎忠勝』だと示し続けなければならないのか。それは何も強さを誇るためではない。俺はこれからの人生を奈落の底まで、生き地獄の彼方まで、転がり落ちていくために無創であらねばならぬのだ。無創を誇って、俺は心の傷を隠さなければならぬと思う。無理にでも無創を自慢して、多くの嘲笑を買い、世間にあいつはもう名前だけの老いぼれだなと言われるために、俺はこれから生きていく。そして俺は自分自身を辱めることを絶対にやめない。どれだけ辛くとも、俺は決して誰にも本心は言わぬ。毎日肖像画を見ていて、やっと、わかった。俺は、苦しみを見せぬ苦しみを貫くために、『無創』なのだ。これが多くの生命を奪ってしまった俺の、唯一の償いになるのだ。だからこそ、お前はこれからも、俺を苛め続けてほしい。俺を完膚なきままに叩きのめしてほしい。俺はいつまでも生きることに敗れ続けなければならぬ。死ぬのが怖い老いぼれの『生きる闘い』を、言い訳まみれの恥さらしを、俺は必ず、続けていく。どんなに苦しくとも、大丈夫だ。この生き恥こそが、俺をふたたび戦場によみがえらせてくれるではないか。もう一度『蜻蛉切り』を手にとって、合戦場を駆け回ることができるではないか。俺は最期まで、武人『本多忠勝』としてあり続けることができるではないか」

 

 

 

忠勝は、これから数日後、親指を傷つけた。自分の名前を彫っているときに、ふいに目がかすんだのだった。生涯初めての刀創は忠勝自身の手によってつけられたのだ。鈍った赤色に濡れた『蜻蛉切り』を、穏やかに白布で拭うと、忠勝は机上に置いて、それからあの肖像画を見つめた。自分がなぜだかあの頃よりも、たくましくなっているような気がして、親指の痛みも忘れ、つい、微笑がこぼれた。長く細いため息を吐きながら、『蜻蛉切り』を見つめていると、開け放された障子から見える秋晴れの空の中から、一匹の赤とんぼが入り込んで、先ほどまでは鮮血がべったりとついていた『蜻蛉切り』の矛先に静かに止まった。その瞬間、もう、『蜻蛉切り』ではなかった。思ったより早かったな、老翁はその言葉を、喉の奥にぐっと仕舞い込んだ。

 

『事の難に臨みて退かず、主君と枕を並べて討死を遂げ、忠節を守るを指して侍と曰ふ』

 

遺言を書き終えると、老翁は穏やかなまどろみの中に薄れていった。いつのまにか蜻蛉の目を持って、群青色の空を高く高く昇り続けていった。その瞬間、多くの生命の記憶が、本多忠勝を千の眼のごとく捉えていた。それでも忠勝は、一つ一つの瞳に眼を逸らすことなく、立ち向かうことができた。そして敗れることができたのだった。

やがて、蜻蛉は、美しく銀光りする止まり木を見つけた。老いた蜻蛉は、幸福そうに笑って、生命の羽が震えるのを終えたとき、静かな切れ目が、訪れた。

2009年2月15日公開

© 2009 児島啓祐

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