こんにちは。高橋です。今回は前回のお金の話とやや関係があるのですが、体制の話をしたいと思います。

破滅派のこれまでを振り返って

現在、破滅派は僕が中心となって進めています。どこの同人誌も主幹というのがいて、その人が色々やるというのはそうだと思うんですが、実は当初思い描いていたものと現在の形態は少し違っています。よくよく考えてみたら、そもそも「雑誌」や「出版社」を作りたかったのではなくて、破滅派をムーブメントみたいなものにしたかったのでした。今破滅派発足の辞を読み返してみると、「場所」という表現は取っていますが、組織や雑誌といった固定的なものではなく、もっと動的なものにしたかったんですね。平たく言えば「どんな形でもいいからうまく回っていればいい」という感じです。

長く運営を続けてくる中で、破滅派の本懐である文芸活動を行う余力を持つためにも、それ以外の部分では合理的に立ち回った方がいいという判断から組織立って活動することを目指し続けてきたのですが、それもなんか違うなーというのがいまの感慨です。法人化したのも、組織だって何かをやるためというよりは、法人化することでできることが色々増えるからというのがほんとうのところです。

ここまで読むと破滅派が解散するみたいですがそうではありません。「どのような体制が破滅派にとって理想的なのか」という、これまでまったく明文化してこなかったことを言葉にする前に前フリです。

文芸同人誌は出版社の夢を見るか?

破滅派が法人化した後、食べて行くために普通の仕事(Webの受託とか)をしているのですが、よくクライアントに「メインの仕事はなんなんですか?」と聞かれます。長々と説明するのも面倒くさいので、「出版社です」と答えていましたが、実はちょっと違います。

すべての組織は巨大になっていくと、やがては運営の効率化を迫られ、ピラミッド型の組織を志向するようになります。業務は分割され、それぞれの業種に特化したエキスパート達がお互いに意思の疎通を図りながら業務を回していきます。同人誌もまた例外ではなく、「同じ人」達が集まってやっていたとしても、いつかは役割と階層が生まれていきます。

組織論をぶつつもりはないのですが、そうした未来の先に待っているのは、当然「成長した文芸同人誌=小さい出版社」という夢のないビジョンであります。仮に世の出版社すべてがダメ人間の集まりであれば、成長した同人誌がつけいる隙もあるかと思いますが、それなりにマトモな人が集まって一生懸命やったところが<お察しください>なので、そんなにうまくは行かないでしょう。がんばって弱小編集プロダクションぐらいが関の山じゃないでしょうか。

というわけで、破滅派としては、ぜひともそうならないようにしたいと思っています。世間を騒がせてはいつのまにか消え去るという素敵な怪盗のようなことができる、破滅派はそんな自由な場所であってほしいと思います。

ちなみに、法人化したのは、取次に口座を持つことで書籍を全国流通させる可能性を持つためで、これも「ブレイクを可能にする」ための一つの方策だったんですね。

医者がいなけりゃ祈祷師がなんとかする

さて、出版社という既存組織のやり方を踏襲せずしていかにするか?

僕は破滅派がユニット生成の場所になればいいと思っています。「自律的に動く集団がくっついたり離れたりしながら何かが起きている」というのはJALを再建している人みたいな言い草ですが、基本的に僕はペシミストなので、それで「まっとうな」ものができてくるとは思ってません。そんなに毎回毎回書籍やら雑誌やらを作るために必要な才能が集まることもないでしょう。それよりも、「まっとうでなくてもとりあえずモノになる」ものを自由に作れるようにした方が面白いんじゃないかなと思っています。医者はいなかったけど祈祷師が一生懸命お祈りしたらガンが治ったというパターンが理想ですね。

とはいえ、「既存の方法は取らないが、いびつでもきらりと光るものを作りたい」というだけなら誰かが言っていることの繰り返し。それをいかに実現するかというのが破滅派の組織論になります。

破滅派の組織体制

もし破滅派が100人の村だったら……68人が年収2000万です! といきたいところです(今日TVでそういうラーメン屋の社長が出てました)が、そうもいかないのであり得そうな組織体制を挙げてみたいと思います。

株式会社破滅派

株式会社破滅派は法人組織にしかできないときにズズズイッと前に出てくるものです。現状、Web制作の受託としてしか使っていませんが、出版社として本を作ったりするときに使います。ISBNは破滅派の名義で登録しているので。

また、ミニコme!では破滅派が運営母体となります。他にもなんらかのサービスをして商売をするときは株式会社破滅派が中心となります。損害賠償請求をされたときに犠牲になるためですね。

まれに「破滅派で雇ってください☆」ということを言われるのですが、あまりオススメしません。人望のない僕はすでにスタートアップを殺す18の誤りの1個目に躓いているので、たぶん地獄です! 基本文芸って儲からないんですね。ミニコmeが上手く行けばバイトぐらい雇えるでしょう。

文芸同人誌破滅派

さて、文芸同人誌破滅派の活動全体の運営母体を株式会社破滅派に変えてもまったく問題はないのですが、同人誌でいた方がいいこともいくつかあります。以前は知らないで参加してしまったのですが、コミティアなどのイベントは法人が参加するとき条件があります。よく調べていないのですが、ISBNをとった書籍をコミケなどで販売することも色々条件が付くようです。こういうのも単なる任意団体である文芸同人誌破滅派ならオッケーですね!

ただし、これはかなりグレーゾーンなので、なるべく早いうちに解消したいです。今年中にこの齟齬を解消して株式会社破滅派に一本化したいですね。

破滅派に関わる人々

上記のような二段構成になっている破滅派に関わる場合、どのようなスタンスで取り組むのか? この大問題に答えることはしかねますが、それぞれの人たちを破滅派がどう考えているのかを記しておきたいと思います。

  1. 株式会社破滅派の社員=社畜
  2. 文芸同人誌破滅派の同人=お客さんを呼んでくれるお客さん
  3. 破滅派の読者やミニコme!のユーザー=お客さん

基本的にはこのような考えです。現状の破滅派は1と2の間にいる人がほとんどなのですが、同人もお客さんと考えておいた方がよりよい文芸を行っていけるでしょう。

では、この1と2の間にいる同人たちをどのように定義していくのか? これは具体的なサービス内容に落とし込んで説明したいと思います。本当は今回で書いちゃうつもりだったんですが、人生が行き詰まってきたので論理的に説明することができませんでした。続きをお楽しみに。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

価格¥2,640

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ポール グレアム

原名Graham,Paul

翻訳史朗, 川合

発行オーム社

発売日2005 年 1 月 1 日

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