基地外詩「美談」　2016.1.6

今日マクドナルドで女子高生がとても良いことを言った

今日電車の中で坊やが世界の真理を突いた

今日職場で日本の礼儀を知らないガイジンを折伏してやった

今日学校で気に入らないアイツをギャフンと言わせてやった

今日わが子が将来サヨクにならないように愛のムチを振るった

今日旅行先の台湾で老人から日本の植民地統治を感謝された気がした

今日天皇が笑った

目の前を通っては消えてゆく

誰が誰の為に書いたのか分らないが誰が誰の為に書いたのか何となく分る

十キロバイトにも満たないクソ美談よ

もう良い

他人の事で

それも何ら解決しない事で

快感を得られるのか

社会の悲惨から目をそらし

権力の横暴に触れず

我々を分離した奴等の名を忘れ

それで何をするか？

ディスプレイにかじりついて

ヤンキーなる人々　つまり気に入らぬ若者を

ガイジンなる人々　つまり在日人やハーフを

サヨクなる人々　つまり社会に抗議する者を

ガキ　つまり以前の当然醜くそして明るかった我々を

叩くだけだった！

叩くだけ！

そして差別されている人々の声は見えているのに見えないと言う

権力が横暴に振舞って南国や隣国の人を殴りつけたとき

君は心の中のマックの女子高生に愛国心を語らせているね

我々の社会が在日人とハーフへの差別を意識しないとき

君はネットで見た日本文化折伏美談を同僚やクラスメイトのガイジンに再び試しているね

権力が歴史を見つめないとき

君は行った事があるかないか関係なくドイツや台湾の老人に感謝されたがっているね

ディスプレイの電源を切れ

我々は現実に生きている

だが現実に従う必要などない

差別や理不尽を受け容れる必要はない

しかし分離され続ける必要もない

我々こそが！だ

スカッとしたいなら

世界の音楽を聴け

世界の絵や文を楽しめ

世界の人と交われ

世界のオチンコとオマンコあらゆる性に感動せよ

そして世界に蔓延る権力の横暴を憎み拒め