現在、Apache OpenOfficeの代表者デニス・E・ハミルトンはプロジェクトの終了を提案中だ。提案によると、ソースコードは公開され続けるが、ソーシャルメディアなどのアカウントなどはすべて閉鎖される。終了の理由は開発の停滞によってセキュリティやバグの修正が行えていないということ。公開スケジュールもかなり遅延しており、現在ではリリース・マネージャーがいないことから、終了はやむなしと見られる。

Apache OpenOfficeは2011年に解散したOpenOffice.orgの後継である。開発元であるSun MicrosystemsがOracleに買収された際、開発者達が独自に作った後継ソフトがLibreOfficeであり、OracleがApache財団にOpenOffice.orgブランドを寄贈する形で実現したのがApache OpenOfficeだった。したがって、権利的に正当な後継者が非嫡出子に敗れた形になる。

OpenOfficeは「無料のWord、Excel」として人気を博してきた。原稿執筆のツールとしてWriterというWord互換ソフトを利用してきた人も多いだろう。「無料で使える」といっても、その裏では膨大な数の人々が無償の労働で支えてきた。そのリソースを割けなくなった時に、ソフトウェアはそのライフサイクルを終了する。

幸い、Apache OpenOfficeで作成したファイルはLibreOfficeやMS Officeとの互換性があり、ここ数年は乗り換えるに困ることはなさそうだ。とはいえ、中断した小説を10年経って再開しようと思ったらもう開けなかった、という事態は避けたいものだ。文芸作品を書く者の責任として、自分の執筆環境にはある程度の興味を持った方がよいだろう。

もしよろしければ、あなたの執筆環境を教えていただければ幸いである。

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