今月は4誌発売。

新潮2016年7月号

  • 劇作家の山下澄人が「しんせかい」(160枚)を発表。
  • 蓮實重彦の三島由紀夫賞受賞インタビュー。
  • 創作四編は金井美恵子、多和田葉子、円城塔、滝口悠生。金井美恵子以外は芥川賞受賞者。
  • 加藤典洋がソクラテスについての論考を掲載。

他はネット上の情報では確認できなかった。注目はニュースでも取り上げられた蓮實重彦の独占インタビューだろうか。蓮實節についての弁明がどのようになされるのかが注目される。新潮社のWebサイトで立ち読みができるので、ご興味の方はどうぞ。

文學界2016年7月号

  • 「大型特集 民主主義の教科書」柄谷行人インタビューのほか、18歳投票について「18歳の君が投票するとき考えてほしいこと」という著名人に対するアンケートが行われている。
  • 創作は保坂和志、吉田修一、柳美里、椎名誠。最近小説の執筆を再開した保坂和志の名が。そして、それよりさらにブランクがあったのではないなかと思われる椎名誠が連作小説を掲載するのが驚き。
  • 俳優の神木隆之介が登場。出演する新作映画について監督の宮藤官九郎と対談をしている。
  • 韓国の文芸評論家で韓国での柄谷紹介者であるジョン・ヨンイルが寄稿。柄谷も解説を寄せているので、柄谷フリークの方にオススメ。

群像2016年7月号

  • 青山七恵が中編を、藤野可織が『おはなしして子ちゃん』中の一変を完全版として掲載。
  • 橋本治と三浦雅士が新連載開始。橋本『九十八歳になった私』は老人小説と銘打っている。橋本はまだ60代、『桃尻娘』で培ったノウハウが活きるか。
  • エッセーに島田荘司と服部文祥が寄稿。ミステリー作家の島田荘司はtwitterで意気込みを語っている。服部文祥はサバイバル登山家。

群像は連載・連作が多いため、新連載以外は割愛。

すばる2016年7月号

  • 田中慎弥『司令官の最期』270枚は寓話的未来小説と書かれているが、SF小説か。一時よりアレゴリー的作風になったが進化の過程はいかに。
  • 吉村萬壱、諏訪哲史ら芥川賞受賞作家が小説掲載。
  • 特集「読む温泉」では円城塔、福永信、澤西祐典が小説と鼎談を掲載。
  • 蜷川幸雄の追悼特集に橋本治、古川日出男が寄稿。
  • 文芸評論家安藤礼二、画家堀江栞がそれぞれ新連載を開始。

 

以上、今月発売の文芸四誌について概観をお伝えした。