「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」が、東京・六本木ヒルズの森美術館にて7月30日から開催されている。本展では隕石や化石はもちろん、日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチの天文学の手書きノート、ガリレオ・ガリレイの天文学手稿、チベット曼荼羅や鉄の隕石から作られた伝説の刀「流星刀」、そして日本最古のSFファンタジーともいえる『竹取物語』の現存する約20点の絵巻のうち、国学院大(東京都渋谷区)図書館にある江戸時代初期「竹取物語絵巻」が展示されている。

さらに現代アーティストによるインスタレーションや、宇宙開発の最前線に至るまで、古今東西ジャンルを超えた多様な出展物約200点を一挙公開。宇宙は古来、人間にとって永遠の関心事であり、また信仰と研究の対象として、世界各地の芸術の中で表現され、多くの物語を生み出してきた。「人は宇宙をどう見てきたか?」、「宇宙という時空間」、「新しい生命観―宇宙人はいるのか?」、「宇宙旅行と人間の未来」の4つのセクションで構成し、未来に向かっての新たな宇宙観、人間観を提示することを試みている。

日本最古の物語である『竹取物語』は、「かぐや姫の誕生と成長」、「五人の貴公子と五つの難題」、「帝の登場とかぐや姫の昇天」、大きく分けて3章で構成されている。このうち宇宙に関係があるのは第3章だけである。「月」が登場するのは、この章だけだ。姿を消すかぐや姫、まばゆい光とともに現れ兵士たちの力を奪う天人、開け放たれる塗籠の戸、心を失う天の羽衣。これほど美しく幻想的に描かれたSFファンタジーがどうやって1000年も前に生み出されたのか。本展で公開されている「竹取物語絵巻」にヒントがあるかもしれない。

その他にも魅力的な展示物が満載だ。宇宙は多くの物語を産み出してきた。そしてこれからも。創作に悩む貴方には天からの助け舟が下りてくるはずだ。個人的には万寿堂『小笠原越中守知行所着舟』(「漂流記集」より)が気になる。これはUFOか。かつて宇宙人は今より近しい存在だったのか。とするとやはり『竹取物語』第3章は現実に起こった出来事なのか。人間の想像力も宇宙とともに広がっていく。